東京大学医学部附属病院(東京都文京区)は臓器移植の体制強化と次世代の人材育成を目指す新しい寄付講座を開設した。患者らが設立した一般社団法人N28からの寄付を原資に活動する講座で、日本の臓器移植を次のステップへ導くことを目指している。

 東大病院によると、新講座には東京大学大学院医学系研究科呼吸器外科学講座が協力し、東大病院で実施例が多い肺移植だけでなく、他臓器の移植や麻酔科、集中治療分野など臓器移植と関係するさまざまな分野で高度な専門知識と技術を持つ人材を育てる。

 教官には移植関連の各分野に紐付けられた指導医を配置し、実際の臨床活動を通じて高度な教育を進める。これに合わせ、臓器移植に優先的に利用される高規格手術室を増設するほか、臓器移植患者を優先して受け入れる集中治療室の増設など臓器移植に必要な医療環境の整備も進める。

 東大病院は臓器移植の受け入れ数が国内最多。2024年は肺移植41件、肝移植31件、心臓移植28件を実施した。いずれも過去最多で、増加を続ける脳死ドナーに対応する臓器移植体制の強化や人材の育成が急務になっていた。

 脳死ドナーの増加は移植を待ちわびる患者にとって朗報だが、患者を受け入れて移植手術を実施する病院側の受け入れ態勢整備が追いついていない一面もある。このため、移植を断念せざるを得ないケースもあり、東大病院はこうした患者の受け皿となることも考えている。

参考:【東京大学医学部附属病院】寄付講座設立による臓器移植体制の充実と次世代育成(PDF)

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