日本の超高齢化の最前線地域に位置する山口大学医学部、秋田大学医学部、香川大学医学部、旭川医科大学、鳥取大学医学部の5大学は、包括連携協定を締結し、全国規模の医療研究ネットワーク「Alliance5( アライアンスファイブ)」を結成した。
日本では急速な高齢化と少子化の進行により、高齢者の健康問題や医療費の増加といった深刻な課題が生じている。特に地方では超高齢化・人口減少が進行し、加齢関連疾患・難治性疾患も増加している。しかし、こうした課題に対応するには、単独大学だけでは、症例・研究者・データ基盤が不足している。
そこで、高齢化が最も進む地域の国立5大学、山口大学医学部、秋田大学医学部、香川大学医学部、旭川医科大学、鳥取大学医学部が手を組み、医療研究ネットワーク「Alliance 5( アライアンスファイブ)」を結成した。IoTやAIなどの最先端技術を活用し、各大学の強みや地域特性を活かしながら臨床データや解析技術を共有できる全国規模の研究基盤を構築し、研究を推進する。
具体的には、旭川医科大学が血管の難治性疾患、炎症・免疫制御薬開発を、秋田大学が医学と工学を組み合わせたデジタル研究、難治性疾患のTR研究を推進する。香川大学は、大規模医療データ連携、遺伝子からたんぱく質まで一括分析、低分子・高分子治療薬開発を担う。鳥取大学はメンタル・脳神経の難病、希少疾患の患者データ登録、低分子シャペロン技術を担当。山口大学はデータ統合センター、神経や筋肉の病気の研究拠点となる。
記者会見では、5大学連携による「統合医科大学形成」と強調し、従来は単独の大学や地域では困難だった大規模な症例集積やデータの比較解析が可能となり、新たな治療法・予防法・診断法の開発が大きく前進する。研究の必要に応じて、5大学間において検体の解析もできる。また将来的には、健康年齢の延伸、地域医療の質の向上、医療経済の改善など日本社会が直面する課題の解決に大きく貢献することが期待される。
なお、このように複数の国立大学による連携・協働の事例には、千葉大学、新潟大学、金沢大学、長崎大学、熊本大学、岡山大学の「国立六大学連携コンソーシアム」、東京都にキャンパスを置く東京科学大学、東京外国語大学、一橋大学、お茶の水女子大学による「四大学未来共創連合」、東京大学と東京藝術大学の包括協定などがある。
参考:【香川大学】超高齢・少子フロンティアを切り拓く国立5大学による包括連携協定「Alliance 5 (アライアンスファイブ)」に関する記者会見の御案内