南米ペルー南部にある世界遺産「ナスカの地上絵」に付近に生息していないペリカン類とカギハシハチドリ類が描かれていることを、北海道大学総合博物館の江田真毅准教授らの研究グループが突き止めた。研究グループは地上絵が描かれた目的など謎の解明につながる可能性があるとみている。
北海道大学によると、研究グループは地上絵に描かれた鳥16点の形を鳥類学の観点から分析し、特徴を比較した。13点については種類を特定できなかったものの、これまでコンドルやフラミンゴと考えられてきた2点は冠羽やかぎ状になっているくちばしの形、突出した胸などからペリカン類と判断した。
これまでハチドリとされてきた1点は、尾羽の中央部が突出していることや細長いくちばしなどから、カギハシハチドリ類と特定した。
ペリカン類は地上絵があるナスカ台地から約50キロ離れた海岸部、カギハシハチドリ類は地上絵の東にあるアンデス山脈のさらに東側や北側に生息しており、地上絵の付近に生息していない。
ナスカの地上絵はアンデス山脈と太平洋の間の砂漠地帯に描かれ、あまりの巨大さで上空を飛行しないと形が分からないことから、南米を代表する観光スポットの1つになっている。
紀元前200年から紀元800年ごろまでのナスカ時代に描かれたと考えられ、幾何学模様や動物を描いたとみられるものなど700を超す数の地上絵が確認されているが、描かれた目的は不明なままで、天文観測説、雨ごい説、宇宙船発着場説など多くの仮説が出されている。