産業技術総合研究所人工知能研究センターの川本達郎研究員、香川大学教育学部の青木高明准教授らの研究グループが、機械学習を用いて大規模な自由記述の回答から効率よく意見集約できるシステムを開発した。
産総研によると、このシステムは「投票クラスタリング」と命名された。回答者に対し、他の人の回答が無作為に抽出されて一定数提示される。回答者はそれらの答えが自分の意見と合致するかを判定し、合致しない場合に自分の意見を書き込んでいく。
こうすることで抽出された意見が一致するかどうかを判定した回答者たちの行動グラフを作成、これを機械学習の一種であるグラフ分析アルゴリズムで処理することによって意味として類似した回答をまとめる。研究グループは数万人規模のアンケートでも意見集約が可能になるとしている。
従来の自由記述式アンケートは分析人がすべての回答を読んで処理しなければならず、大規模に実施することが難しかった。今回の方法だと意見を自動的にグループ化したあと、少数の代表的な意見を読むだけで済み、作業時間を劇的に効率化することができる。
研究グループは今後、実証実験用のサイトを通じて大規模自由記述式アンケートの機会を広く提供し、実証実験を重ねる方針。収集データは産総研で解析し、その結果をアンケート利用者に提供する。