南山大学人文学部キリスト教学科の佐藤啓介准教授の著書『死者と苦しみの宗教哲学―宗教哲学の現代的可能性』(南山大学学術叢書、晃洋書房、2017年)が、第2回日本基督教学会賞を受賞した。南山大学は、共学の大学としては中部地区唯一のカトリック系ミッションスクールである。
日本基督教学会賞は、刊行時45歳未満の若手学会員が過去5年間に刊行した図書の中から、(1)専門性、(2)独創性、(3)議論の整合性、(4)全体の統一性、(5)学術用語に対する寄与、(6)学術書に相応しい表現・表記の観点で精査され、優れた作品1点が選ばれる。
受賞は日本基督教学会第67回学術大会において発表された。選考委員会は、宗教哲学の現代的可能性を問う研究書として、専門性と独創性を特に評価した。佐藤准教授の宗教哲学的思索について「これまでの先行研究を踏まえつつも独自なものであり、多くの研究者にとって刺激となる素材を与えると言える」と称賛している。
佐藤准教授は「このたびは、このような栄誉ある賞を受賞し、大変光栄に思っております。対象となった拙著は、過去10年ほどつづけてきた、悪や苦しみ、死者など「暗い」テーマをめぐる宗教哲学的思索をまとめたものですが、まだ多くの課題が山積しています。今後、一層の研究に励みたく存じます。また、本書は、南山大学学術叢書の一冊として刊行されました。この出版助成制度がなければ本書を刊行することすらできませんでした。南山学会に心より感謝申し上げます。」とコメントしている。