山形大学の坂井正人教授らの研究グループが南米ペルーのナスカ台地とその周辺で新たな地上絵143点を発見した。このうちの1点は、日本IBMと共同で実施したAI(人工知能)を活用して空撮写真を処理する実証実験で確認している。今後、現地調査に基づいた地上絵の分布図を作成し、全体像を把握して保護活動を加速させる。
山形大学によると、今回の発見は2016~2018年にかけ、高解像度の3次元画像分析やドローンを使った現地調査で見つけた。両頭の蛇が人を飲み込もうとする全長約20メートルのものや、全長100メートルを超すシャチや鳥の姿を描いたものがあり、紀元前100~紀元300年に描かれたと推定されている。
日本IBMとの共同実験では、AIに地上絵を学習させ、ナスカの空撮写真から地上絵を探させたところ、500点以上の候補が上がった。山形大学で現地調査した結果、全長5メートルの杖を持つ人の図柄が地上絵と確認された。
ナスカの地上絵はペルーのナスカ川とインへニオ川に囲まれた盆地上の高原に描かれた幾何学模様の図形や動物の絵で、1994年にユネスコの世界遺産に登録されている。これまでに70~80点の地上絵が見つかっていた。
山形大学は米国のIBMワトソン研究所と共同研究実施の学術協定を締結した。今後、IBMが持つAIプラットフォームを利用して地上絵の分布状況把握に努める。