徳島大(徳島県徳島市)は、イスラム教徒の留学生向けにイスラム教の戒律に従った料理「ハラルフード」の提供を始めました。留学生の要望に応えたもので、NPO法人・日本ハラール協会の認証は受けていませんが、イスラム圏から来た留学生に調理方法や食材を確認してもらっており、喜ばれています。
徳島大には約210人の外国人留学生がおり、そのうち50人ほどがインドネシア、バングラデシュ、マレーシアなどイスラム圏の出身者です。これまでも留学生からハラルフードの提供を求める声がありましたが、調理器具を使い分けなければならないうえ、食材の調達にコストがかかるため、導入を見送っていました。
大学側が2014年末にイスラム圏出身の留学生から聞き取り調査したところ、自宅から弁当を持参する学生以外は、おにぎりや素うどんしか食べておらず、空腹に困っている実態が明らかになりました。さらに、2015年1月に全留学生のアンケート調査をすると、「宗教上の理由から学食で食べられない」との回答もありました。そこで大学生協と協議のうえ、少数でも早急に対処しようとハラルフードを提供することにしました。
学食でのハラルフード提供は、イスラム教徒の留学生が増えるのに伴い、全国で広がっています。全国大学生協連合会のまとめでは、2012年度末で京都大、東北大、首都大学東京、早稲田大、立命館大など20大学で提供されており、その後も提供する大学が増えているようです。
※ハラルフード ハラルはアラビア語で「許された」「合法の」を意味し、イスラム教の戒律で認められた料理を示します。豚肉やアルコールが禁じられ、それらを含む調味料、豚肉を揚げた油、調理器具を使用した料理も口にできないことになっています。