静岡県内唯一の私立理工系総合大学である静岡理工科大学では、膨大な情報(ビッグデータ)を解析し、そのデータの利活用で社会貢献していく人材を育成することを目的に、2020年4月、情報学部コンピュータシステム学科に【データサイエンス専攻】を開設する。
「データサイエンス」とは、データの分析に関する学問分野のひとつ。近年では、インターネットなどの情報インフラの整備が進んだことにより、家電や自動車をはじめ、生活で使用する多くのものがインターネット(情報)でつながる時代を迎えようとしている。その結果、われわれの生活からは日々膨大なデータが産み出されているが、こうしたビッグデータに価値を見出すのがデータサイエンスという学問であり、これらの研究者および技術者は「データサイエンティスト」と呼ばれる。
そして、ICT(情報通信技術)の進化した現代では、さまざまなビジネスや医療、教育、行政等において、高度なデータ処理能力、データ分析力といった、データサイエンスにかかわるスキルが必要となっている。しかしながら、現在のところこのようなスキルを使いこなせるデータサイエンティストは不足しており、その育成が大きな課題となりつつある。
特に、実社会で有用なデータサイエンティストになるためには、「ICTスキル」「専門知識」「ビジネス視点」という、3つの能力が重要になってくる。静岡理工科大学の【データサイエンス専攻】では、在学中の4年間で、このうち「ICTスキル」「専門知識」を中心に修得。データサイエンティストとしての礎をかためることを基本目標に、先進的な教育プログラムの提供によって、データの真価を見極め、社会に役立つ新たな価値創造ができる人材の育成を進めていく。残る「ビジネス視点」の能力に関しても、産学官連携による共同研究などを積極的に行うことにより、学生時代からこうした視点で考える機会をつくり出すことが計画されている。
具体的なカリキュラムポリシーとしては、1年次にはICTについて、幅広い分野を中心にデータサイエンスの基礎となる数理分野の理解と、データサイエンスを応用するために必要な教養を高めていく。2年次以降はプログラミング、数学など、データサイエンスにかかわるスキルを身につけるために欠かせない専門能力の修得と理解を推進しながら、実社会への活用を前提に企業と連携した実習、実践的演習を行っていく。こうした講義に加え、ベンダー系外部カリキュラムも積極的に活用しながら、グローバル社会への対応力を育成するため、海外研修も実施していく予定だ。
さらに、【データサイエンス専攻】の入試の特徴として挙げられるのが、2020年1月実施の大学入試センター試験のうち、指定する5教科から3教科を選択し、出願が可能となっている点である。5教科のうち必須教科となるのが「数学(数Ⅰ、数Ⅱ、数Ⅰ・数A、数Ⅱ・数B、簿記・会計、情報関係基礎からひとつ)」と「英語(リスニング含む)」の2教科。選択教科は「理科(物理基礎、化学基礎、生物基礎からふたつ、または物理、化学、生物からひとつ)」「国語(近代以降の文章)」「地理歴史・公民(世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理B、現代社会、倫理、政治・経済、倫理・政治・経済からひとつ)」から1教科。このうち「数学」「理科」「地歴・公民」において2科目以上を受験した場合は、それぞれ高得点の科目が合否判定の対象となる。
また、情報学部の募集に関しては、学部一括で行い、2年進級時に学科配属が行われるが、【データサイエンス専攻】の募集に限っては、1年次からコンピュータシステム学科データサイエンス専攻に配属となる。さらに合格者は授業料50万給費奨学生として採用される。情報学部全体の入試結果においても、入試成績が最上位の場合には、授業料100万円給費奨学生として採用される可能性がある。