千葉大学の研究グループは、新型コロナウイルス感染症について入手可能な世界の情報を科学的に解析した。その結果、西洋の国々で陽性率が7%未満の国では、陽性率がそれ以上の国に比べて1日の死亡者の割合が15%でしかないと発表した。陽性率低下のためにPCR検査数の増加が急務としている。
一般にPCR検査陽性者数を感染者数とするが、無症状感染者のため無検査の者も多い。そこで、1日の死亡者数をその国の人口で補正したデータを、その変化のパターンから地域ごとに予測できる機械学習で解析した。その結果、新型コロナ感染症の広がり方には、西洋とアジア地域では100倍程度の著しい地域差があった。原因として社会的・制度的・民族的要因や遺伝的要因など様々考え得るが、今後の研究が必要としている。
また、感染による死亡者数とPCR検査の状況を比較した結果、陽性率が7%未満の国の死亡者数は陽性率がそれ以上の国の15%に過ぎなかった。陽性率が2%以下の国は、1日の死亡者の減少傾向を認めた(オーストラリア、台湾、中国、韓国)。なお、4月13日の東京の陽性率は32%であった。
さらに、PCR検査陽性者の増加後数日を経て死亡者が増加するが、死亡者数が増加するまでの期間とPCR検査の陽性率が反比例することが分かった。陽性者が見出されて直ちに死亡者が増加した(この期間の短い)国は、PCR検査が不十分で症状が出る前の早期感染者を見落としていたか、重症者の入院が手遅れになった可能性が高いと考えられる。
以上の結果から、新型コロナウイルス感染症で死亡者数の減少にはPCR検査の陽性率の低下が必要で、そのためにはPCR検査数を濃厚接触者などで無症状の者にまで幅広く拡充させることが急務であると結論している。