九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの錢琨助教と大学院理学研究院の矢原徹一学術研究員が新型コロナウイルス感染拡大後のオンライン調査で市民の予防行動と性格の関係を調べたところ、性格に配慮した感染症対策と心理ケアが必要とする結果を得た。
調査は政府の緊急事態宣言が出たあとの4月8日、オンラインでアンケート調査し、全国1,856人から有効回答を集めて分析した。
それによると、神経質な人は予防行動レベルやストレス・不安・抑うつスコアが高く、他人の努力への評価や医師への信頼が低い傾向があった。勤勉性が強い人は予防行動レベルが高いものの、感染リスクや他人の努力、自身の仕事への影響を低く評価していた。協調性が高い人はストレス・不安スコアが低く、生存への確信、他人への評価が高い傾向があった。
錢琨助教らはこうした分析結果から、予防行動や心理状態には性格による大きな個人差があり、個人差に配慮した感染症対策と心理ケアが必要とみている。
オンライン調査はその後も週1回のペースで実施している。錢琨助教らは6月までに行った計10回の調査を時系列で精査し、市民の精神的な負担や予防行動、意識、生活への影響がどのように変化したのかを分析している。分析結果が個人差に配慮した感染症対策と心理ケア立案の重要な材料になると期待している。