首都大学東京システムデザイン学部の渡邉英徳研究室と岩手日報(岩手県盛岡市、東根千万億社長)は、東日本大震災で犠牲になった岩手県民の地震発生から津波襲来までの避難行動をまとめたデジタルアーカイブ「忘れない~震災犠牲者の行動記録」を作製しました。岩手日報のホームページで公開しています。

 首都大学東京によると、デジタルアーカイブは犠牲者が地震発生時、津波襲来時にどこにいたのかを岩手日報記者が遺族から取材。居場所が詳しく分かった1,326人について、首都大学東京の多元的デジタルアーカイブズ技術を使って被災直後の航空写真と地図上に避難行動を可視化しました。

 各自治体別の航空写真では、地震発生時の位置を男性が水色、女性が赤で表示、避難行動をそれぞれの色の線で表しました。遺族の了解を得られた犠牲者687人は名前と当時の行動についても表記されています。

 個別の画面を見ると、車で遠くまで移動した末に津波で流された人がいる一方、自宅から一歩も出なかった人などそれぞれの行動がひと目で分かります。釜石市鵜住居地区では、犠牲者の大半が防災センターに移動し、そこで津波に飲まれました。陸前高田市中心部では、震災発生後に自宅がある津波浸水域に移動して亡くなるケースが目立っています。大地震のあとは避難所を過信せず、すぐに高台へ非難すべきであることがよく分かります。

 岩手日報は犠牲者がどのような避難行動を取り、どこに集まったのかなどを詳細に分析することで、犠牲者の声なき声を可視化し、震災の教訓を後世に残そうと、デジタルアーカイブの作製を発案しました。

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