中学生時点で獲得していた勤勉さやまじめさ、忍耐強さが将来の労働所得を向上させていることが、東京大学社会科学研究所の「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」で分かった。

中学時代の勤勉さなどが高学歴、高収入につながり、勤勉さなどが最も高かったグループと低かったグループでは、年間平均所得で60~70万円の差が見られた。

 東京大学社会科学研究所の石田浩教授らは、2007年に20~34歳だった若年と、35~40歳だった壮年の2グループを抽出し、毎年追跡調査を進めてきた。2015年は2011年に追加したサンプルを含め、若年2,390人、壮年1,162人から聞き取り調査をした。

 それによると、各サンプルに中学時代の「勤勉さ」「まじめさ」「忍耐強さ」の3項目について4段階で自己評価してもらった。これと年間平均所得を比較すると、勤勉性などが高いほど高収入となっていることが分かった。特に男性でその傾向が強かったが、こうした能力の差は生まれ育った家庭環境では説明がついていない。

 正規雇用者と非正規雇用者別に突然の残業、休日出勤について調べたところ、残業が男性の正社員35.2%、パート29.0%、派遣社員31.6%となるなど、一定の差はあるものの、際立って大きいものではなかった。特に男性は販売職など比較的非正規雇用者が多い職種でその差が小さくなっている。

 さらに、結婚観について聞いたところ、2007年の段階で「結婚している方が幸せ」と回答した未婚者の多くが結婚しやすく、「結婚する必要性を感じない」「仕事に打ち込みたい」と答えていた人ほど結婚しにくくなっていることが明らかになった。

参考:【東京大学社会科学研究所】「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2015」プレスリリース

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