熊本大学とロート製薬株式会社は、漢方薬の一種である五苓散(ソウジュツ配合)の「天気頭痛」への効果を検証し、五苓散(ソウジュツ配合)が有名な鎮痛成分であるロキソプロフェンとは異なる作用機序で効果を表すことを明らかにした。
天気(気圧)の変化等で起こる頭痛を「天気頭痛」と呼び、一般には鎮痛剤の処方により対処される。今回の共同研究では、気圧調整できる室内にて、薬剤投与後、通常気圧1時間、気圧を-50hPa低下させて1時間、そして通常気圧に戻して1時間観察を行う天気頭痛モデルの新たな試験系において、脳血流量変化を測定することで、五苓散(ソウジュツ配合)とロキソプロフェンの効果を比較検証した。
その結果、気圧を低下させると脳血流量が増加したが、五苓散(ソウジュツ配合)とロキソプロフェンをそれぞれ投与した場合は、脳血流量増加が抑制されることがわかった。また、気圧を低下させた後、通常気圧に戻しても、投与なしでは元の脳血流量まで減少・回復しないが、五苓散(ソウジュツ配合)を投与した場合は、元の通常気圧時の脳血流量まで減少・回復することがわかった。一方、ロキソプロフェン投与では、通常気圧に戻しても、投与なしの場合と同様に、元の脳血流量まで減少・回復しなかった。
このことから、五苓散(ソウジュツ配合)は、脳血流量を減少させる点においてロキソプロフェンとは異なる作用機序を持ち、気圧変化による脳血流量への影響を低く抑えることで天気頭痛に効果を発揮することが示唆された。
五苓散(ソウジュツ配合)は、天気頭痛で悩む人々を気圧変化に負けない体質へと導く新たな対処法として今後の活用が期待される。
参考:【熊本大学】五苓散(ソウジュツ配合)の天気頭痛※への効果を発見 気圧低下で起こる脳血流量増加に対する五苓散の抑制効果を確認~熊本大学とロート製薬の共同研究~(PDF)