大学進学者のうち、「経済・経営・商学系」「法・政治学系」「社会学系」などの社会科学系学部に、どれくらいの割合の生徒が入学しているか想像できますでしょうか?学校基本調査によると、2024年度入学者で男女含めたシェアは32.4%で約3人に1人が社会科学系の学部に進学していることになっています。女子だけに絞ると、26.6%で約4人に1人が進学しており、男女ともに進学する学部としてはメジャーな系統になっています。

 この社会科学系の中でも、最も多い入学者となっている系統が「経済・経営・商学系」です。大規模総合大学のほとんどが設置しており、学部の定員も数百人になっていることも多くあります。それでは、女子大学の中の「経済・経営・商学系」はどうなっているのでしょうか?女子大学のイメージとしては、家政系や文学系学部というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?しかし、ここ数年で女子大学の設置学部系統も大きく変化してきています。

 

女子大学で「経済・経営・商学系」の学部設置が増えている

 女子大学の中にも、1960年代から「経済・経営・商学系」を学べる学科やカリキュラムは存在していましたが、学部まで設置している大学は、ほとんどありませんでした。2003年に安田女子大学(広島県)が現代ビジネス学部を設置、2006年に椙山女学園大学(愛知県)がマネジメント学部を設置していますが、新しい潮流にはなりませんでした。その後、2013年に昭和女子大学(東京都)がグローバルビジネス学部を設置した頃から、学科専攻などでも増えてきて、現在の新設ラッシュにつながっています。このように女子大学の中で「経済・経営・商学系」学部学科を設置しているところは増えてきていますが、共学の大学との比較で考えれば、まだ少ないのが現状です。

女子大学の「経済・経営・商学系」は、社会学系学部の中に設置されている場合もあり、発見しづらい?

 「経済・経営・商学系」の学部学科を探そうと思った場合、受験情報サイトなどで検索して探す人も多いかと思います。しかし、この学部系統の学科は、数が多いため、分かりやすい学部でない限り、目立ちづらいというところがあります。最近では、「経営学部」「ビジネス学部」など分かりやすい学部名のものも出ていますが、女子大学の「経済・経営・商学系」は、社会学系学部の中に、学科や専攻として設置されている場合もあり、特に目立ちづらいところがあります。河合塾など予備校の学部系統別偏差値表でも、「経済・経営・商学系」の中に入っていないものや、「社会学系」の中に、ひっそりと掲載されているだけという場合もあります。

2027年度新設構想中の日本女子大学 経済学部(仮称)が開設されると 女子大学の「経済・経営・商学系」がさらに広がっていくのではないか

 女子大学と言えば、家政系や文学系の学部設置が中心になっているイメージが強くあると思います。この中でも、家政系学部は、希望する生徒が少なくなっており、改組を余儀なくされている大学も多く出ています。今までは、心理など女子に人気が高い分野を含んだ「社会学系」学部への改組が多くありましたが、今後は、日本女子大学が2027年度に経済学部(仮称)を新設構想していることもあり、「経済・経営・商学系」の学部が増えていくのではないかと予測されます。「経済・経営・商学系」の学部は、共学の大規模大学では必ず設置されているため、共学の大学との併願も増えていく可能性も高いと考えられます。

大学ジャーナルオンライン編集部

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