4.アクティブラーニングからアクティブティーチングへ
では、質の低い(失敗に終わった)ALと質の高いそれとを決定的に分ける要因は何であろうか。もちろんその解を一つに絞ることはできないだろう。しかし、あえて一つ挙げるとすれば、筆者は教員自身の能力・態度を挙げたい。特に教員自身の態度はALの質に大きく影響する。それは、前述の通り、形式的なALをやっていれば満足だという教員の存在からも理解できるだろう(このような教員に能力があるかは甚だ疑問ではあるが)。
「学習内容よりも、学生に書く・話す・発表するなどの活動をさせるだけで十分であると、極端に理解し、満足している大学や学部、そして教員がいることは確かである。・・・中略・・・内容より形態に関心が向けられているのだから、内容的に薄っぺらい授業となるのは当然である(溝上〔前掲書〕、104-105頁)」という指摘をより進めるならば、教員が生徒・学生の成長にこだわりをもち、それを果たすために主体的・能動的に教育を行う。いわば、アクティブティーチング(AT)こそがALを成功させる決定要因となるのではないだろうか。先のコンビニ弁当の例のように、受講生が直面する課題を克服したあとに更なる課題を提示・提供する。そのプロセスを時間や能力が許す限り繰り返そうとするATこそが、ALを成功させるために必要なのだと考えられる。その意味では、現在多くの大学・学部でAL導入に関する議論が交わされているが、ALを成功させるためのATを行える仕組みづくりこそが急務であるかもしれない。