地域連携教育

本学では地域連携教育にも力を入れてきましたが、2013年、国の「地〈知〉の拠点整備事業」(大学COC事業)の採択を受けたのを契機に、『プロジェクト&N』の名称で全学的な展開へと広がっています※1。大学の知を地域へ還元し、地域の質を高めるとともに地域と連携することで地域の教育力を大学に取り込み改革を促すプロジェクトで、高いコミュニケーション能力を有し、社会の課題を主体的に発見・解決でき、地域を愛する良き市民、良き職業人を育成することが目標です。また近年は、地域を深く知ることも重要であるとの認識から、国際人材育成と両輪をなす本学の特色ある教育と位置付けています。

COC事業では、愛知県内をはじめ、全国的にも優れた取り組みが報告されていますが、本学の大きな特徴は、全学的な広がりと、豊富でしかも1年から4年までの段階発展型カリキュラムにあります。

具体的には、「地域商業まちづくり」「歴史観光まちづくり」「減災福祉まちづくり」という3つのアプローチから様々なまちづくり事業を設けています。それぞれのアプローチごとに、「まちづくり提言コンペ」、「課題解決型授業(PBL)」に参加し、あわせて「地域志向型科目」を学びます。そして「地域フォーラム」「地域インターンシップ」「地域課外活動」といった授業や活動を通じて、実践的に、楽しみながら地域と交流します。

「まちづくり提言コンペ」は全学部の1年を対象にした参加型教育イベント。キャンパスのある熱田区と瀬戸市それぞれにおいて、まちを回って3つの視点から課題を見つけ、その解決方法を考え、政策提言をします。自分たちが日常生活するまちに愛着を抱き、課題発見力や提案力を育成するのが目的です。集めた提言は、それぞれ熱田区、瀬戸市で選考され、最優秀作はそれぞれの首長から表彰されます。

「課題解決型授業」はアプローチごとに「まちづくり学」「まちづくり演習」「上級まちづくり演習」の3つのステップで構成され、現場での調査、分析を経て最終的には政策の提案を行います。科目としては、NGU教養スタンダード科目に「地域理解分野」として7科目が用意されています「。地域志向型科目」には、これらの科目に加えて、経済、商、法、外国語、スポーツ健康、リハビリテーションの6学部がそれぞれ専門科目を用意。すべて課題解決型になっており、それぞれの専門の授業でも引き続き学べるようになっています。

「地域フォーラム」は学部での教育・研究の成果を地域に還元する全学生参加型イベント。3、4年で所属するゼミをベースに、地域のステークホルダーと成果を共有します。2015年に一学部で試行し、今年度からは全学で展開します。

他には、「地域インターンシップ」、「地域課外活動」があり、それまでの学びの集大成を行います。

現在進行しているプロジェクトはおよそ20。外国語学部による英語によるガイドブック制作や、商学部の『project758』のような企画※2までじつに様々。どの取組も熱気にあふれていて、名古屋市も行政と大学との連携による地域活性化モデルと捉えているようです。

今の若者たちは、少子化の中で異なる世代や価値観の違う人とのコミュニケーションが苦手。プロジェクトを通じて、自分たちの手で何かを成し遂げる中で、コミュニケーション能力を高めるだけでなく、全人的に成長していくのが手に取るようにわかります。今後はプロジェクト、科目、提携先ともにさらに増やしていきたいと考えています。

 

※1:地域の質を高める「地」域連携・「知」識還元型まち育て事業
※2:名古屋の魅力を再発見してもらおうと、老舗や名所をキャラクターが案内する雑誌(写真)を制作。声優の協力も得て動画でも配信、全国からたくさんの反響を呼んでいる。

木船 久雄先生

名古屋学院大学 学長
木船 久雄先生
1955年8月、静岡県磐田市生まれ。早稲田大学大学院商学研究科博士課程前期修了。日本エネルギー経済研究所・第六研究室長を経て、1992年本学経済学部助教授に就任。1998年教授昇任。情報教育センター長、経済学部長、大学院経済経営研究科長を歴任し、2011年学長就任。専門は資源経済学、エネルギー環境政策。
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