ひとつ屋根の下で重ねる異文化交流

 人手不足に悩む企業にとって、外国人受け入れ政策の転換は見落とせないニュースだろう。幸いにも日本で仕事を求める労働者は増え続けているが、留学生の数もまた年10%以上の伸び率を示し、現在の総数は約30万人にのぼるという。母国を飛び出してでも日本で何かを学び取りたいと熱望する若者に、各教育機関も積極的に門戸を開こうとしている。帝京大学もその一つである。

 その取り組みは、留学生向けの入試制度や奨学金制度の拡充に留まらず、“住まい”を充実させることにも余念がない。

 帝京大学は2018年4月、宇都宮キャンパスの敷地内に「国際学生寮宇都宮」をオープンさせた。現在、50人を超える留学生が暮らしている。出身国は韓国、中国、香港、台湾、マレーシア、カンボジア、スリランカと幅広いが、留学生専用の寮ではない。日本人学生も入寮が可能で、130人近くが共同生活を送っている。留学生とひとつ屋根の下で衣食住を共にできることは、日本にいながら留学生活を送るようなもの。「国際性」の養成は帝京大学の教育指針であり、それを推進する役割もこの寮は担っている。コンセプトは「教育寮」。学生間で異文化交流を促進させ、グローバル人材を育成することが目的だ。

 寮には学生をあたたかく見守る寮長・寮母が常駐していることと併せて、2つの特徴的なシステムが導入されている。ひとつめは「ユニット制」で、寮の各部屋では日本人学生と留学生が4人一組となって時間を過ごす。プライバシーが確保された個室と、常時コミュニケーションをとれる共用リビングで構成された空間で、互いの文化や価値観などが自ずとシェアされていく。多様性を学び、相互理解を深める仕組みと言えるだろう。

 もうひとつは「RA(レジデントアシスタント)」を置くこと。RAとは寮のリーダーであり、寮生に充実した寮生活を過ごしてもらうための活動を積極的に行う。各フロアに1〜2人が配置され、寮生のサポート、寮の規則やマナーの普及、交流イベントの企画・運営、寮生からの相談などに応じている。寮長・寮母と寮生、寮生同士の“懸け橋”となり、交流に偏りや孤立を生まないキーパーソンとなっている。

 国際学生寮で暮らす魅力は何か、RAを務める寮生たちに尋ねてみた。留学生は「知り合いがいない日本ですぐに友だちを作れることや、日本の慣習や礼儀を深く学べることも魅力です」「さまざまな国の人とつながり、母国の文化をシェアできることが楽しいです」と話す。一方で、日本人学生は「人見知りする性格でしたが、留学生とも積極的に会話ができる物怖じしない自分になりました」「文化や価値観の異なる相手を受け入れ、知らない世界を知る喜びを感じています」と自身の成長を語ってくれた。

 この寮には、若き日の異文化交流を、長い人生の糧にしてもらうためのISM(イズム)が流れている。それは、『一生付き合える人間関係を、世界中に構築していく起点であること』。相互理解に努めるグローバルな生活を送った若者が拡散していくことは、世界平和の礎にもなるはずだ。

寮内に食堂は設けられておらず、寮生たちは各階に設けられた「コミュニティキッチン」を使って自炊する。一緒に作って食べようか?と気軽に声を掛け合える開放的な食空間だ。

 

地上4階建てで最大収容数200人。女性専用フロアもある「国際学生寮宇都宮」。キャンパス内にあるため通学の不安もなく、学業やクラブ活動に時間をしっかり充てられる。

 

こちらはユニット内にある「個室」。完全にセパレートされているため勉強に集中できる。また、備え付けの机・椅子・ベッド・クローゼットがあるため、入寮後すぐに生活を始められる。

 

寮生の部屋は「4人制ユニット」タイプ。プライバシーを確保する個室以外に、共用リビングをもつのが特徴。日本人学生と留学生で編成され、4人が常時コミュニケーションをとれる。

帝京大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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