“建築都市デザイン学部”を新設、工学部が“理工学部”に、知識工学部が“情報工学部”に名称変更し、さらなる進化を。

武蔵工業大学の伝統と研究力を受け継ぎ、2029年の創立100周年へ向けて“アクションプラン2030”を掲げ改革を加速する東京都市大学。教育の質の向上や急速なグローバル化が進む中で、国の私立大学等改革総合支援事業では、全国で唯一全5タイプに選定され注目を集める。近年は志願者数も右肩上がり。今春には2023年の完成を目指して世田谷キャンパス再整備にも着手した。
学部・学科の改編、新学部の開設にも動く。2020年4月には創立期以来の工学部の名称を理工学部に変更し一層の充実を図るとともに、伝統の建築分野や情報分野はストレートな名称として存在感を明確にする。大きな改革を先導する新3学部の教授にお聞きした。

 

 

改革の目玉は?またそれぞれどんな学部を目指しますか。

田口:従来の知識工学部から新たな理工学部へ自然科学科を移管し、知識工学部としては国の提唱するSociety5.0(超スマート社会)を創り、支え、発展させる人材育成を明確化するために情報工学部へと名称変更する。

大上:最大の変更点は、創立期以来の工学部の名称を、理工学部に変えること。2009年の武蔵工業大学からの校名変更に次ぐ大改革だと思う。理工学部では、学科構成を大きく機械系、電気系、応用科学系の3系統に編成する。
 機械系は、「機械工学科」と「機械システム工学科」に、電気系は2019年度に設置した入学定員150名の大規模学科である「電気電子通信工学科」と「医用工学科」に。そして応用科学系では、既存の「エネルギー化学科」「原子力安全工学科」に加えて、現在、知識工学部に設置されている「自然科学科」を移管、新設し、理学色を強化する。

勝又:建築都市デザイン学部は、現在、工学部にある「建築学科」と「都市工学科」の2学科を集約した学部として構成する。
 この2学科は、90年前の本学創立期にルーツを持つため※1、必ずしも《新しい学部》というイメージはないかもしれない。ただ、建築・都市という名称を際立たせることで、従来よりも高等学校、受験生からは学びが見えやすくなると思う。学部名に《デザイン》の名称を組み入れたのも大きな特徴だ。建築学と都市工学とを合わせて《建築都市》と呼ぶのではなく、デザインという言葉を加えて、両学科から構成される学部の方向性を示す。これまでの学問体系を越えて、都市をデザインする哲学、美学、技術についても学んでほしいというメッセージを込めた。

――昨今は建築系学部を開設する大学が目立ちます。

勝又:確かに。ただ一学部一学科体制が多い。本学は2学科構成で、しかも「都市大」として《都市研究》を大きなテーマに掲げており※2、都市生活学部や環境学部など、都市研究を研究対象にしている学部が複数存在する。そのため扱っている領域は、他の大学よりもはるかに広いと思う。

田口:知識工学部は情報工学部という教育・研究分野を示すストレートな名称に改める。学科は「情報科学科」と「知能情報工学科」の2つであり、その2学科で情報社会(Soceity4.0)の次の超スマート社会(Soceity5.0)が必要とする専門分野を網羅する。
 超スマート社会ではすべてのモノとヒトがインターネットでつながる。センサーからの膨大な情報、つまり映像、画像、情報、音声、言語を人工知能、ビッグデータ解析技術を使って解析し、人の生活を豊かにする社会の実現を目指す。「情報科学科」はそのうちの、映像、画像、音声、言語に関する解析について研究と教育を展開し、さらに超スマート社会の根幹をなすコンピュータ技術、ハードウエア、ソフトウエアについても教育、研究の対象とする。またロボットも扱う。
 一方、「知能情報工学」は、ビッグデータ、AI、IoTをキーワードにした教育・研究を行う。前身が経営システム工学科ということもあり、これらのビッグデータやAIの解析技術を使って、企業の経営上の様々な課題に対してソリューション等の提供を行う。

どんな教育を?

大上:理工学部では、科学技術の根幹をなすものつくりを支える工学に、新たに自然科学における真理を探求する理学を融合させる。「理論と実践」という教育理念に基づいて、理工学分野の基礎に加えて専門知識を深く学び、科学的根拠に基づく実践を通じて、社会の要請に応えられる人材を育成したい。言い換えれば、先進的な技術力、論理的思考力を備えた人材を理工学の名の下に育成する。

勝又:建築都市デザイン学部の人材養成及び教育研究上の目的は、建築・都市工学の専門能力や、デザイン能力を含む問題解決能力を備え、社会の可能性を拡げることができる人材の育成だ。
 「建築学」と「都市工学(前身の土木工学は英語ではcivil engineering)」の共通領域である都市デザイン系の科目は現在8科目だが、学部となることでこれまで以上にデザインに関して学ぶことが可能になり、「建築都市デザイン」に関わる共同研究のチャンスも増えるだろう。

田口:知識工学部には、4月からスタートした他学部にない独自の国際人育成のための「国際コース」がある。情報工学部にも引き継がれ、その「国際コース」では卒業単位の約3分の1を英語による講義で取得する。数学、物理や専門基礎の一部を英語で学び、英語で論文を読み、卒業研究を行うなど、専門についての英語力(読む、聞く、話す、書く)を育む。当然TAP※3への参加が原則で、TOEICでは最低でも550点をすべての学生に達成させる。

高校生へのメッセージ

大上:求める人物像は、高校の履修内容をよく理解し、専門分野を学ぶための基礎的な力を備えた人。学部の目的である自然科学あるいは科学技術に強い関心を持ち、未知の課題に取り組む意欲のある人。専門知識と実践力を身につけ、さらには多面的思考力と幅広い視野を持って、社会の持続的発展や人類の福祉に貢献するという志、意志を持つ人だ。
 高校では特に数学、理科、英語などをしっかり学習してきてほしい。

勝又:理系の学部学科であることには変わりなく、入試は従来通り。2学科別枠で行うことも変わらない。ただ建築や都市をつくる上では哲学などの人文科学にも親しんでおくことが欠かせない。高校ではすべての科目、特に国語、歴史なども重層的に学んでほしい。

田口:AO型入試を変える。AO型入試はもともと一般入試と異なり、学部・学科の特徴に沿った人材を求める入試方式である。情報工学部への名称変更に合わせ、自作ソフトウエアでの出願を認めることにした。プログラムの創作に意欲のある人には積極的に応募してほしい。
 

※1:1929年 武蔵高等工科学校(その後の武蔵工業大学)として創立し、電気・土木・建築の3工学科を設置
※2:「 都市研究の都市大:魅力ある未来都市創生に貢献するエイジングシティ研究および実用化の国際フロンティア」事業が、2017年に国の私大研究ブランディング事業(世界展開型)に採択された。
※3:東京都市大学オーストラリアプログラム

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大学ジャーナルオンライン編集部

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