日本語以外で異文化と接する日々の授業が学びを深める
関西大学ではCOIL型教育をどう活用しているのだろうか。IIGE副機構長の池田佳子教授に、具体的な授業内容を伺った。
「新たにCOIL用の科目を作るのではなく、既存科目をCOIL化する形にしています。学生からすれば『希望科目を履修したらCOIL型だった』という印象だと思いますね。一方で春や夏の長期休暇には、留学に代わる体験となる特別なCOIL型プログラムを展開しています」
その活用は、全学の共通科目から各学部の専門科目や演習に至るまで多岐にわたる。例えば、 海外の大学との知見を交換し、より精度の高い研究成果を得たい、との目的で導入する理工系ゼミもある。つまり、異文化交流やコミュニケーション能力の向上といった段階を超え、学びの深まりや活動の広がりを生む効果や特性があるという認識がすでにされつつあるのだ。
こうした背景を受け、関西大学は、文部科学省の主催事業「大学の国際化促進フォーラム」のプロジェクトとして、多国間を結ぶ多方向型の「J – MCP(Japan-Multilateral COIL/VE Project)」にも取り組む。大学同士を1対1で結ぶ双方向型のCOILからさらに進んだ手法だ。 「この2年で世界全体のオンライン学習環境が整備されました。それならということで始まったのが、多国間で繋がってみんなで学ぼうというJ – MCPです。それぞれによさがあるので、学びの目的や特性に応じて双方向型・多方向型を学生が選択できる仕組みができています」(池田教授)
COIL型の授業では、日本国内にいるだけでは想像しえない体験をすることもある。そのため、学生たちはさまざまな意見のぶつかりや摩擦、文化的背景の違いなどに驚き、悩むこともあるという。
「ですが、最初はコミュニケーション力に自信がなかった学生が、COIL型授業によってハードルを越えていく姿を見る機会も多いのです。日本語以外で異文化と接する環境が日常にあること。それがCOILの価値だと思っています」
藤田副学長は、壁を乗り越えた時に国際人として大きな一歩を踏み出すことができる、と語る。関西大学の4年間には、COIL型教育を始め、海外との接点をもち成長する多彩な機会が用意されている。
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