ビズリーチ・キャンパスと連携し、リーダーシップ開発講座を開講
名古屋大学では以前からリーダーシップ開発講座を開講し、土井氏も数年間、同講座を担当してきた。しかし、雇用市場の変化に合わせて講義内容の見直しを行い、ビズリーチ・キャンパス協力のもと、2024年度に新たなリーダーシップ開発講座を開講した。
「新たな講座では、『社会人が自身のキャリアを語り、学生は社会人との対話や交流を通じてリーダーシップを育む』という授業スタイルを構築しました。私の好きな言葉に、フランスの詩人ルイ・アラゴンの『教えるとは、希望を語ること。学ぶとは、誠実を胸に刻むこと』というものがあります。希望を共に語り、学生がキャリアの目標を抱く『始まり』となるようなきっかけを、この講座で提供したいという期待をもって講座を開講しました」
講座は、学生がこれまでの人生の棚卸しをするセッションと、3名のゲスト講師がキャリアを語るセッション、そして、学生が自分の未来に向けて何ができるか、何をしたいかを考えるセッションで構成されている。参加した学生は21名で、4~5名のグループに分けて実施した。
「例えば人生の棚卸しでは、これまでの成功体験や失敗した体験を思い出しながら人生年表を作成。そのうえでゲスト講師3名の話を聞き、翌週に社会人のキャリアを振り返る時間を設けました。これは、社会人の話を聞くだけでは何も吸収できないだろうとの考えによるもの。社会人のキャリアを振り返り、グループで議論を交わすことで、社会人のキャリアを『自分ごと』として捉える視点を育めるよう促しました」
最後の授業では、学生一人あたり2分半の時間を設け、「自分の現状と今後の目標」についてプレゼンしてもらった。そして、同講座のテーマである「リーダーシップ」を育んでもらうため、学生が発表している間、同じチームのメンバーが「時間内に終わるようサポートする」というルールを設けた。そのときの様子を土井氏はこう語る。
「深く心に響いた回でした。なぜなら、誰もが他人の言葉を真似るのではなく、自分の言葉で将来について語ってくれたからです。13回の講義を通じて、学生たちは大きく成長しました」
やりたいことはないと言っていた学生が、「マスコミに就職したい。番組制作に携わりたい」と希望を語った。多くの学生が「優秀になりたい」と、心の奥底にある思いを語った。メンバーが発表している間、他のメンバーは紙に「残りの秒数」を書いて示すなど、サポート役に徹した。
「優秀な学生であっても、明確な目標が見つからずに悩んでいるケースはたくさんあります。今回実施したリーダーシップ開発講座は、学生が自分自身の未来について考え、自分自身の言葉で目標を語る良いきっかけになりました」
なお、講師を務めた3名は、社内起業制度を活用して事業を起こし、現在は投資先の取締役を務めている方や、大手放送局のディレクターとして活躍している方、総合系コンサルティングファームに就職後、現在は執行役員を務める方など、多彩なキャリアを持つ。多忙な彼らに配慮し、オンラインで講座に参加してもらう方法もあったが「対面の授業」にこだわった。
「著名人のインタビューを動画系SNSなどで気軽に観ることができますが、同じ言葉や表現であっても、目の前で聞くのと、画面越しに聞くのとでは、大きな違いがあります」と土井氏。
ゲスト講師は、「学生たちのために」という思いから自身のキャリアについて話し、学生たちは言葉だけでなく、社会人の思いも含めて多くの情報を受け止める。これこそが二次情報にはない一次情報の重要性であり、だから対面の授業にこだわったのだ。「学生と社会人、そして教員が共に希望を語ることは、対面の授業でしか実現できないでしょう」と土井氏。対面の授業にしたことが、リーダーシップ開発講座が成功した大きな要因になっている。
2024年前期に実施されたリーダーシップ開発講座。人生の棚卸しを行い、社会人のキャリアを自分事として捉えながら、一人ひとりが未来への希望を育んでいった。
Common Nexusで学内外の人々を繋ぎ、新たな価値創造を推進
最後に、今後の名古屋大学の取り組みについて紹介しよう。
2020年4月、名古屋大学は岐阜大学との法人統合により東海国立大学機構を発足し、「国際的な競争力向上と地域創生への貢献を両輪とした発展」を視野に入れた取り組みを進めている。中でも「Common Nexus(東海国立大学機構プラットフォーム<仮称>)は、学内外のさまざまな人々と繋がり、新たな価値創造の場となることが期待されている。
Common Nexusは地下鉄名古屋大学駅と直結しており、誰でも自由に参加できるよう一部の教室は壁をなくす予定だ。「誰もが気軽に声を掛け合い、新しいことに挑戦できる情報共有型のスペースとして、多くの方に活用してもらいたいですね」と、土井氏は語る。
「2024年度に実施したリーダーシップ開発講座は、ビズリーチ・キャンパスの担当者と何度も打ち合わせを重ねながら、講義内容について修正・調整を図ってきました。社会人と学生をつなぎ、オンライン・オフラインの双方でOB/OG訪問ができるビズリーチ・キャンパスのプラットフォームはとても優秀で、今回の講義に参加した学生たちも、自分の興味に基づいて自分自身でも社会人に話を聞いていました。今後もビズリーチ・キャンパスのリソースを活用した取り組みを進めていけたら嬉しいですね」
対面だからこそ実現できる「共に希望を語る機会」を数多く提供し、学生たちの未来を応援する━━これこそが、土井氏をはじめキャリアサポートセンターの職員たちの心にある原動力なのである。
東山キャンパスに建設予定のCommon Nexus。学生や教職員が学外の多様な人と繋がり、新たな価値創造の場となることが期待されている。
<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社ビズリーチ 新卒事業部(ビズリーチ・キャンパス)
以下のフォームよりお問い合わせ下さいませ。
https://site.br-campus.jp/university/
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