NTT西日本との共同開発で誕生した
生成AIを活用した学習支援AIアシスタント「DAIB」を2024年にリリース
また、2024年春学期からは、DDASH必修科目の「データサイエンス概論」と「データサイエンス基礎」にて、NTT西日本と共同開発した生成AI「DAIB(Doshisha AI Buddy)」の活用を開始。DAIBは、NTT EDX社が提供する電子教科書配信サービス「EDX UniText」と連携し、セキュアな環境で利用できることが大きな特徴です。
「これはMicrosoft社のTeamsをインターフェイスとして用いたシステムです。外部の知識ソース(データベース、ドキュメントなど)から情報を取得し、その情報を基に回答を生成するRAG(Retrieval-Augment Generation)を採用しており、特定分野に特化した最新情報を、低コストで利用できるところが利点です。具体的には、教員が作成した資料や教科書等を電子教科書配信サービス「EDX UniText」経由で参照することができ、学生は予習時の教科書の要約、キーワード解説、教科書に対する質問への自動回答機能のほか、復習時や試験前対策として自分に合った設問を自動的に作成する機能も備えています。
実は生成AIは、使い手に依存してしまうため、体系的な学習には不向きなツールです。しかし、生成AIと電子教科書を併用して学習できるDAIBなら、学生一人ひとりのペースに寄り添いながら体系的な学習もできるため、非常に効果的に学ぶことができるのです。実際に、春学期からDAIBを利用した学生達に使ってみた印象についてアンケートを取ったところ、「学習に効果がある」と感じた学生が8割を超える結果となりました」
DDASHの今後
2024年度現在、DDASHの履修者数は学部学生数約2万6000名中「5863名」と、全学の2割を超える学生が履修。プログラム開始当時、「2028年度に履修者数5000名」を目標に掲げていたが、既に4年も前倒しで目標を達成したことになる。履修した学生達からの満足度の非常に高いDDASHの今後の展望について、最後に伺ってみた。
「DDASHプログラムの履修者はありがたいことに年々増加しています。2024年度はDDASH-Lの新規履修者が昨年度よりも1000名程度増え、例年より大きく履修者数が伸びました。必修科目となっている『データサイエンス概論』受講者にアンケートを取ってみたところ、受講者のうち6割が高校時代は『文系』だった学生でした。実際、最近の学生達の卒業後の進路を見ていると、ここ数年で採用先が非常に多様化しています。これは、大企業の約半数が経営企画や製品企画、マーケティングにデータを活用し、データ分析専門の部署を置く企業が増えたことに起因しています。このように、社会におけるデータ利活用が急速に広がる今、文系・理系の枠を超えた文理融合人材が必要とされていることを実感しています。
だからこそ、Society5.0社会を生きていく学生達には、「データサイエンスを俯瞰したい」「大学において自分の専門分野でデータを扱う」「社会人基礎力としてのデータサイエンスを大学で身につけたい」「計量的に物事を把握する力を身につけたい」「データサイエンスやAIなんて苦手だけど知っておかないと困るから基本だけでも知りたい」「面白そう」など、学ぶきっかけは色々とあって良いと思いますが、文系・理系を問わず必須となる数理・データサイエンス・AIの知識・教養について、まずはリテラシーレベルから履修してもらえればと思っています。
今後は、同志社大学の学生達の枠を超え、高大接続の入学前教育、社会人・市民へのリカレント教育・リスキリング教育の一環としても、同志社大学で作り上げたデータサイエンス・AI教育プログラムの学びを広げていければと動き始めています」
同志社大学 文化情報学部/文化情報学研究科
同志社データサイエンス・AI教育プログラム運営委員会 委員長
宿久 洋教授