映像を題材に、社会の見方・あり方に対する様々な考え方に触れる
文理融合型の学び

「学生が興味のある映像文化について、様々な角度から研究するリテラシーを身につけられるところが、文理融合型の文化情報学部で学ぶメリットだと思います。また、例えば映像を通して、日本では当たり前だと思われていることが、外国では当たり前ではないことを知ることで、社会に対する見方について国際感覚を養うこともできます。こうした力は、社会に出て様々な問題に直面した時にも、複眼的な視野から問題解決する能力の基盤になると思います。」

興味のある映像作品を対象に、比較分析・研究することで
答えを導く思考のトレーニングを経験

「『映像文化論研究室』のゼミ生たちは皆さん、興味のある映像文化とテーマを選んでいます。例えば、今年は男子学生3名が、欧米発の某有名アニメーション、日本発の某有名アニメーション、イギリス発の某有名シリーズを対象に、女性像と男性像を比較するジェンダー研究を行いました。世界経済フォーラム(WEF)がまとめた2024年版『ジェンダーギャップ指数ランキング』で、日本は146ヵ国中118位という低い順位であることが皆さん気になっていて、ゼミ生たちとディスカッションを通して、それぞれにその答えを導き出しました。こうした作品の中のジェンダー研究を行う上で役立つのが、先ほどの映像における技法や編集方法です。物語の主導権を握る存在にはやはり視点ショットが多いので、その技法や他の技法の数値をカウントすることで、作品の主導権を握っているのが誰かを導き出します。今回の結果で面白かったのは、欧米発のアニメーションによくあるプリンセスが、想像していたより受け身なキャラクターではなく、登場する男女のキャラクターにジェンダー差があまりなくフラットに描かれていたこと。そして、女性を主人公とした作品の多い日本発の某有名アニメーションを調べてみると、意外とサブキャラクターの男性が重要な主導権を握っていることが多いことが分かりました。他にも、実写映画と原作マンガの比較分析、テレビドラマの演出の比較分析、お笑いライブ映像の演出研究、ミュージックビデオの演出研究など、さまざまな研究を行っています。

また、あるアニメーションの大ファンの学生が、『なぜ脇役が観客の共感を呼ぶのか』というシンプルな疑問を基に研究をはじめ、アニメで使用されているショットの種類によって、キャラクターを分類できるかどうかを検証しました。この研究では、学部の授業で学んだデータサイエンスの方法論と文系のキャラクター論を相互に結び付け、定量的な分析と定性的な分析を補完的に組み合わせることで、マイナーキャラクターが観客に強く共感される理由を特定するという、大きな成果を出しました。ある国際学術雑誌に論文の掲載が決まっています。学生たちには、ぜひ、自分の素朴な疑問について、授業で学んだことを利用しながら答えを導く思考のトレーニングを経験していただきたいと思います。」

文系・理系を超えた新しい学びの授業「ジョイント・リサーチ」と、
いつでも学習サポートが受けられる「学習アドバイザー」の存在

 文系・理系の多岐にわたる分野を専門とする先生たちが数多く所属されている文化情報学部。この学部ならではの授業が、2~3領域の専門の異なる先生方がタッグを組んで一緒に授業を行う「ジョイント・リサーチ」。グループで探究型演習を行いながら、新たな問題を発見・解決する能力を身につける。

「複数の教員による3年次合同ゼミ『ジョイント・リサーチ』は文化情報学部の学びの魅力の一つです。これまでは統計学の教員と一緒に文理融合を試みましたが、今年度はまた新たに認知科学とデジタル・アーカイブ教育の教員と一緒に、映像を活用した教材制作に取り組んでいます。私はこれまで学外でも学際的な共同研究を行い、様々な知を効果的に接続して得られる成果の大きさを実感してきましたので、『ジョイント・リサーチ』には何よりも魅力を感じています。
また、文化情報学部では数学や情報学の学習サポートが充実していることに驚きました。レポートの書き方や、発表のためのパワーポイントの作り方など、全ての教科に共通するような基礎的なサポートは一般的な大学でも行われていますが、同志社大学では数理系の授業やPC技術に関して分からないことがあれば、授業期間中はいつでも学習アドバイザーに予約なしで質問に行けます。大学の理系分野の授業は、高校の数学などよりもだいぶ難しく感じる方もいますので、そこをしっかり質問して教えてもらえる体制が整っているところは学生にとって非常に心強いものだと思います。学部のゼミごとに共同研究室があることも恵まれていますね。卒論の時期は特に、学生同士が情報交換しながら熱心に取り組む姿にいつも感心しています。」

文系・理系の枠を超えた幅広い学びで、
想像以上の広い視野が身につくプログラム

「文化情報学部では、文系・理系の枠を超えて深く学び、皆さんの想像以上の広い視野を身につけていただくプログラムになっています。学んでいくうちに、一見異なるものにも、共通点や接続可能な点があることを認識されることでしょう。社会に出たら、そこが何よりの強みになると思います。分断や対立よりも、接続や融和の実現に、この文化情報学部での学びを活かしていただけるよう願っています。」

同志社大学 文化情報学部

佐野 明子准教授

兵庫県出身。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(言語文化学)。桃山学院大学専任講師・准教授を経て、2020年現職。2020-22年に国際日本文化研究センター客員准教授を兼任。専門は映像文化論。共編著に『戦争と日本アニメ:『桃太郎 海の神兵』とは何だったのか』(青弓社)などがある。

 

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同志社大学

「一国の良心」を受け継ぐ。志を一つにして次代へ向けて邁進

1875年、新島襄によって同志社大学の前身である同志社英学校が創立。「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」を教育理念とする良心教育を実践してきました。真理を愛し人情を篤くする徳、個性を尊重し一人一人を大切にする精神、広い視野をもって世界を捉える力、これらを[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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