2025年8月18日から22日まで、成蹊大学にてマサチューセッツ工科大学「Women’s Technology Program(MIT WTP)」と共同で「Seikei-MIT Global Women’s Technology Program」が開催された。本稿ではプログラムの最終日に実施された「最終制作」の様子や、参加者たちの声を紹介する。

 

日本初開催の「Global Women’s Technology Program」

 「Seikei-MIT Global Women’s Technology Program」は、日本の女子高校生1、2年生約30名を対象とした理工系教育プログラム。マサチューセッツ工科大学「Women’s Technology Program(MIT WTP)」が20年以上に渡って実施してきた内容をもとにしている。今回は日本初開催となり、成蹊大学とMIT WTPが連係して実施した。

 プログラムの目的のひとつは、理工系への進学をめざす女性技術者を養成すること。5日間にわたるプログラムでは、力学の基本やプログラミング、電子回路の作成など、技術者に求められる知識やスキルを実践的に学ぶ。また、昼休みには「ランチトーク」が開催され、社会で活躍する女性技術者と交流する機会も設けられた。

学びの集大成を披露!最終制作に取り組む生徒たち

 最終日となる22日午後には、「最終制作」が。棒状の発泡スチロール素材を使い、重りを吊り下げられる「ミニチュアクレーン」を作る。制作は5~6人ずつのチームに分かれて実施。最後は5チームのなかでもっとも力強いクレーンを決定する。優勝チームには賞品があるとのことで、参加者たちも気合いを滲ませた。

 材料の特性、力のかかり方、道具の使い方など、これまでの学びを総動員して取り組む最終制作。約2時間という短時間で完成させるために、分担して作業を進めていく。糸のこぎりで材料を切る人、グルーガンで接着する人、本体を組み立てる人など、それぞれが積極的に役割をこなす姿が見られた。

 ホワイトボードには寸法や完成イメージのスケッチが。ときおりホワイトボードを確認しながら、改良のアイデアや懸念点を挙げる生徒もいた。プログラム最終日だけあり生徒たちの交流はとても活発。よりよいクレーンを作るため、物怖じせずに意見を交わしていた。

 


 時間内にできることや、実現したいことを取捨選択しながら、制作を進めていく生徒たち。表情からは真剣さだけでなく楽しさも伝わってくる。理工系に関心がある同世代の生徒とともに学べる機会を、存分に満喫していた。

ミニチュアクレーン対決の結果は……?

 最終的に、各チームまったく違う形のミニチュアクレーンが完成した。なかにはクレーンを犬に見立てて顔を描くなど、遊び心を含んだ作品もある。「重りを吊り下げられる形」というポイントは押さえつつ、少しでも性能を上げようと工夫を凝らしたことが伺えた。

 評価では、アームに吊り下げた重りの合計重量と、クレーン本体の重さを考慮し、もっとも力強いクレーンを決める。アームが初期位置から5cm下がるか、本体そのものが浮き上がった時点で終了だ。

 各チーム、重りを下げる瞬間は心配そうな表情。アームが折れないかとドキドキしている生徒や、「それでも見守るしかできない」と制作物を信じる生徒もいた。

 重りが増えるたびに、会場からは拍手や歓声が聞こえてくる。自分が所属しているチーム以外も真剣に見守り、仲間の成功を素直に喜ぶ姿が印象的だ。

 対決の結果は、直後に行われた修了式で発表された。結果は計2.4kgの重りを吊り下げた1班が優勝。大きな拍手とともに、賞品の工事用クレーン車ミニカーが送られた。制作物と関連した賞品に、会場は嬉しそうな笑い声に包まれた。

 5日間のプログラムを見守ったMIT WTPの教員たちからも講評が。難しい課題に協力しながら取り組んだ生徒への賞賛や、今回学んだ内容は世界でエンジニアとして活躍するうえでも役立つだろう、と未来へのエールを送った。

 全日程を終えた生徒たちに、MIT WTPの担当者から修了証を授与してプログラムが締めくくられる。生徒たちは英語で書かれた修了証を、達成感に満ちた表情で見つめていた。

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