長崎大学熱帯医学研究所臨床感染症分野の有吉紅也教授、森本浩之輔准教授、鈴木基助教らの研究グループは、2014年から高齢者への定期接種が始まった23価肺炎球菌ワクチンが肺炎予防に高い効果を持つことを突き止めた。国内の高齢者全員が摂取すると、年間10万人程度の肺炎患者が減少するとみている。

 長崎大学によると、肺炎球菌は肺炎の最大の原因となっている細菌で、90種類以上の血清型がある。23価肺炎球菌ワクチンはこのうち、特に感染症を引き起こしやすい23種の血清型を目標にしたもので、世界各国で30年以上の使用実績を持つ。まれに発生する敗血症など重症感染症の予防効果を持つことは分かっていたが、肺炎自体の予防効果については正確に知られていなかった。

 研究グループは2011年から4年間に渡り、全国4カ所の医療施設から65歳以上の肺炎患者のサンプルとデータを集めて分析し、23価肺炎球菌ワクチンが23種類の血清型による肺炎球菌性肺炎を33.5%、全肺炎球菌性肺炎を27.4%減少させていたことを突き止めた。

 この研究は23価肺炎球菌ワクチンによる高齢者の肺炎球菌性肺炎予防効果を世界で初めて解明したことになり、世界各国のワクチン政策に大きく貢献すると期待されている。

研究成果は英国の医学誌「ランセット・インフェクシャス・ディジージズ」のオンライン版に掲載された。

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