文部科学省は、大学と企業が結ぶ共同研究契約書のひな型となる「さくらツール」をホームページ上で公開した。契約の形に応じた11種類のモデルには、契約の際に留意すべき点が記載され、組織体制が十分でない中小規模や地方大学でも研究開発契約を結ぶことができる。

 文部科学省によると、さくらツールの11モデルは、和文、英文の契約書と解説書がつき、共同研究で生まれた知的財産の帰属先が大学か企業か、知的財産が帰属しない側が持つ権利が独占使用選択権、譲渡選択権など、どの種類になるかで分けられている。それぞれの契約モデルはホームページからダウンロードできる。

 大学等技術移転法の施行や産学連携活動推進により、産学共同研究が国内でも増えてきた。しかし、文科省が2002年に提示した共同研究契約書の様式例が使用され、研究の知的財産を取りあえず共同出願、共同特許としているケースが目立つ。どこまで事業化が進んでいるのかも不透明な状況が続くという。

 欧米でも産学研究の知的財産帰属決定が問題になっており、英国ではランバートツールキットなど知的財産の帰属を契約締結段階で具体的に取り決めようとする動きが出ている。
さくらツールはこうした状況を打開し、中小規模や地方の大学にも産学連携ができるようにしようと、文科省が作った。

参考:【文部科学省】大学等における知的財産マネジメント事例に学ぶ共同研究等成果の取扱の在り方に関する調査研究

大学ジャーナルオンライン編集部

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