女性研究者が教授に昇進する機会が男性研究者に比べ、人文科学系で19.1%、理工系で49.6%、医学・生物系で29.0%低くなっていることが、文部科学省科学技術・学術政策研究所の調査で明らかになった。科学技術・学術政策研究所は、日本の大学に女性研究者を過小評価する傾向が存在するとみている。
科学技術・学術政策研究所は科学技術振興機構が提供する研究者データベースを使い、各研究者の論文数、書籍発行数、競争的資金獲得件数など業績や所属学会数、海外の大学への留学、勤務経験などが昇進に与えた影響を分析した。
それによると、女性研究者は昇進の早い一部が男性研究者を上回るスピードで教授になっていたが、それ以外は男性に大きな後れを取っていた。大学改革で女性の活躍促進が図られているものの、政策効果としては大きな変化をもたらさなかったと分析している。
研究業績で最も大きな影響を持つのは、競争的資金の獲得で、論文数や書籍数もプラスの影響が出ていたが、学会発表数は影響を持っていなかった。受賞歴は人文社会系で影響を見られなかったが、理工系や医学・生物学系では昇進を後押ししていた。
海外大学での学位取得は人文社会系で教授に昇進する確率を32.4%上げているが、海外の大学、研究基幹での勤務経験はほとんど考慮されていなかった。
参考:【科学技術・学術政策研究所】一連の大学改革と教授の多様性拡大に関する一考察~研究者の属性と昇進に関するイベントヒストリー分析~