医学部医学科入試の不正問題で、文部科学省は全国81大学を対象に実施した調査の中間報告を公表し、浪人年数や性別で合否判定に差をつけるなど不適切な事例が複数の大学であったことを明らかにした。具体例として4つの事例を公表したものの、大学名は明かさなかった。最終調査結果は年内に公表する。

 文科省の中間報告書によると、問題として公表された事例は
■調査書や出願の際の書類審査で現役生だけに加点し、浪人年数が多い多浪生に加点しなかった
■学力試験の点数が同等なら、女子や多浪生は面接試験でより高い評価が必要になる
■同窓生の子どもを合格圏外でも合格させてきた
■補欠合格者への繰り上げ合格の連絡で得点順位を無視して下位の受験生へ連絡した
-の4つ。既に得点操作の事実を公表している東京医科大学や昭和大学の事例も含まれているもよう。

 しかし、文科省はこれら不適切な入試を実施した大学名や校数について、調査が継続中として公表しなかった。各大学が不適切な事例を自主的に公表するとともに、入試方法を再点検するよう求めるとしている。

 文科省は東京医科大学の不正入試を受け、医学部医学科を持つ全国81大学の一斉調査を進め、これまでに約半数の40大学を訪問した。残りの訪問を急ぎ、年内に結果を公表する方針。東京医科大学と昭和大学以外では、順天堂大学で女子の合格最低点を男子より高く設定していた疑惑が浮上している。

参考:【文部科学省】医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査について

大学ジャーナルオンライン編集部

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