大阪大学の蛋白質研究所、医学系研究科、薬学研究科は株式会社マンダムと共同で、ヒトの汗腺細胞幹細胞を発見し、生体外での汗腺様構造体の再生に成功したと発表した。

 これまで、ヒトの表皮や毛包等には幹細胞が存在し、各々の機能の維持に作用していることが明らかになっている。しかしヒト汗腺においては、幹細胞の存在を証明するために必要な汗腺細胞の中から特定の要素のみを取り出すという単離方法が確立されていなかったため、汗腺に幹細胞が存在しているかどうかは不明だった。

 そこで研究グループは、まずヒト皮膚組織から汗腺細胞の単離方法の確立に着手し、精度よく標識できるマーカーを特定、単離に成功した。次に単離した汗腺細胞の中から汗腺幹細胞を発見し、さらに、その汗腺幹細胞を用いて生体外における汗腺様構造体の再生にも成功した。

 大阪大学大学院薬学研究科とマンダムによる先端化粧品科学共同研究講座では、発汗制御に繋がる次世代のデオドラント剤創出に向け、基盤技術の研究開発を行っている。制汗剤はこれまでは汗腺にフタをする機能が中心であったが、この成果により、今後は汗腺に直接作用し「汗の量や質を改善する」といった新しいアプローチができる可能性があるとしている。

大阪大学

一人ひとりの「真価」を、阪大の「進化」に。地域に生き世界に伸びる大学へ

大阪大学は、11学部23学科を有する研究型総合大学。1931年の創設以来、「地域に生き世界に伸びる」をモットーに、高度な教育研究力、教職員の和の力、そして伝統の重みと大阪という地の利が織りなす卓越した「基盤」と「力」を有しています。これらの優れた潜在力を活かし[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。