2021年8月18日、山口県周南市の私立大学、徳山大学について、周南市議会の令和3年第6回臨時会において公立化に関する4議案が可決され、2022年4月1日に「周南公立大学」として開学することが事実上決まった。

 徳山大学は、山口県の東部にかつてあった徳山市の市議会の誘致により1971年4月に開学。地区唯一の4年制大学として、また公設民営型大学の先駆けとして数多くの卒業生を輩出し、2021年4月に開学50周年を迎えた。徳山市は2003年4月に新南陽市、熊毛郡熊毛町、都濃郡鹿野町と合併し、現在は周南市となっている。そのため大学名も公立化とともに「周南公立大学」となる。

 徳山大学の2020年度入学者は、ほぼ定員は充足できているものの、スポーツ特待生と留学生が全体の約56%を占め、山口県内比率も約35%にとどまっている。また、奨学費の増加で慢性的に経常収支が悪化しているほか、施設の老朽化に伴う将来的な更新費用の負担増も懸念材料となっている。

 周南市が2021年4月に提出した「大学を生かしたまちづくりの方向性-徳山大学公立化についての市の考え方(案)-」によると、公立化のメリットとして、ブランド力と社会的信頼の向上、学費低廉化により魅力が向上し地域人材の育成と定着に寄与すること、地元産業界の経営課題の解決や産学協同研究の促進を図り、政策面でも地域のシンクタンクとして機能することなどを掲げている。

 公立化は決して大学の救済ではない。少子化や人口減少により地方や地方大学を取り巻く環境が厳しくなる中、地方創生や持続可能なまちづくりの推進に向け、産業界も巻き込みながら、積極的に高等教育機関である大学の役割を再構築することが求められる。

 しかし現在、私立大学が公立大学に移行する事例だけでなく、公立の新設大学もここ数年多く開学している。公立短期大学が複数残っているため、今後もまだ増える可能性もある。公立大学の中での競合も激しくなるため、設置学部や教育内容に特色をもたせることがより重要になってくると考えられる。

公立大学に関するデータは以下の通り(2021年8月現在)。

●私立から公立化した大学 ※全国で10大学。括弧は大学所在地と公立化年度
・高知工科大学(高知県香美市/2009年度)
・静岡文化芸術大学(静岡県浜松市/2010年度)
・名桜大学(沖縄県名護市/2010年度)
・公立鳥取環境大学(鳥取県鳥取市/2012年度)
・長岡造形大学(新潟県長岡市/2014年度)
・福知山公立大学(京都府福知山市/2016年度)
・山陽小野田市立山口東京理科大学(山口県山陽小野田市/2016年度)
・長野大学(長野県上田市/2017年度)
・公立諏訪東京理科大学(長野県茅野市/2018年度)
・公立千歳科学技術大学(北海道千歳市/2019年度)

●近年の新設公立大学 ※括弧は大学所在地と開学年度
公立小松大学(石川県小松市/2018年度)
長野県立大学(長野県長野市/2018年度)
叡啓大学(広島県広島市/2021年度)
三条市立大学(新潟県三条市/2021年度)
川崎市立看護大学(神奈川県川崎市/2022年度予定)

●今後の公立化予定と検討状況 ※括弧は大学所在地と公立化予定年度
・旭川大学(北海道旭川市/2023年度予定)
・美作大学(岡山県津山市/検討中)
・東北公益文科大(山形県酒田市/検討中)

●2022年度入試で学生募集している公立短期大学(短期大学部除く)
・山形県立米沢女子短期大学
・大月市立大月短期大学
・岐阜市立女子短期大学
・三重短期大学
・倉敷市立短期大学
・大分県立芸術文化短期大学
・鹿児島県立短期大学

参考:【周南市】審議日程・議案・一般質問通告一覧
大学を生かしたまちづくりの方向性-徳山大学公立化についての市の考え方(案)-(PDF)

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