公海上の海洋生物多様性保全や持続的利用を議論する国際会議で参加国の発言力などに明確な不均衡が存在することを、東京大学大学院農学研究科のロバート・ブラジアック博士らの研究グループが明らかにした。
東京大学によると、アフリカやアジアに多い後発の開発途上国、太平洋やカリブ海、インド洋に多い小さな島国は、海洋環境保護の国際会議に政府代表を送る機会が経済協力開発機構加盟の先進国より少なく、十分に各国の意見が反映されているとはいえない。
交渉の対象となる議題は高度な科学的知識が要求されるが、それらに関する出版物、科学文献の70%以上が、先進5カ国で生み出されている。研究グループは参加国の科学的、技術的知識や能力に著しい不均衡が生じているとしている。
さらに、第1回公海上の海洋生物多様性保全国際会議の各国声明を分析すると、各国の主な関心事に大きな違いあるという。
これまではこうした国際会議で各国が分け隔てなく交渉のテーブルに着いた場合でも、その場で各国間に不均衡が存在するかどうかはよく知られていなかった。
今回、参加国間の発言力や代表権に不均衡があることが判明したことで、すべての参加国代表団に平等な科学的、技術的支援を提供し、交渉の場への継続的な参加を確実にするための措置を取る好機となりそうだ。