長野県小谷村は新鉱物の千葉石(chibaite)を産出した「沖岩体」と千葉石などの「シリカクラスレート鉱物(※1)とその仮晶」を村の天然記念物に指定した。千葉石が発見された地層は保護のために一般公開しないが、千葉石は2022年度から小谷村郷土館に展示する。

 神戸大学によると、千葉石は千葉県南房総市で初めて発見され、2011年に論文で公開された新鉱石。石英と同じ二酸化ケイ素が主成分で、それらがかご状の結晶を作り、その中にメタンやエタンといった炭化水素ガスの分子を閉じ込める。この結晶は「燃える氷」として知られるメタンハイドレートと同じ構造になる。

 浜松市のアマチュア鉱物研究家が1998年、小谷村で見つけた白い正八面体結晶の鉱物を新潟県の糸魚川市フォッサマグナミュージアムに持ち込んだ。これを受け、国立科学博物館、京都大学などが現地調査し、小谷村が世界で2例目の千葉石産出地であることが確認された。

 小谷村教育委員会も独自の調査を進め、千葉石を確認、千葉石を産出した沖岩体、シリカクラスレート鉱物とその仮晶を天然記念物に指定した。

 小谷村中土清水山にある沖岩体は火山性の岩山で、約1,000万年前の中期中新世に海底扇状地として堆積した前沢層に、533万年前~258万年前の鮮新世に安山岩質のマグマが入り込んだ地質。岩体内には炭酸塩鉱物と二酸化ケイ素鉱物から成る網目状の脈があり、その中から千葉石が産出された。

※1 シリカクラスレート鉱物 二酸化ケイ素でできたかご状の結晶を持つ物質を指す。シリカは二酸化ケイ素または二酸化ケイ素でできた物質の総称

参考:【神戸大学】世界で2番目の千葉石産出地!「沖岩体」及び千葉石などの「シリカクラスレート鉱物とその仮晶」を小谷村の天然記念物に指定

神戸大学

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