約3,000年前のイラン北部に分布していた青銅と鉄を組み合わせたバイメタル剣(鉄刃青銅柄剣)の柄に、鋳ぐるみという当時としては先進的な技術が用いられていることが、広島大学、高輝度光科学研究センター、岡山市立オリエント美術館の調査で分かった。理研の大型放射光(※1)施設で高エネルギーX線を用いて撮影したCT画像を精査して明らかになった。

 高輝度光科学研究センターによると、バイメタル剣の柄内部は青銅と鉄という2種類の金属を単に組み合わせただけでなく、鉄剣のなかご部分に青銅を流し込んで柄部を作る鋳ぐるみという技術が使用されていた。

 鋳ぐるみ技術は青銅器時代の末期に実用化されたが、新たに普及を始めた鉄製品にも応用されていたことになる。異なる金属による鋳ぐるみは難しかったらしく、長い柄を作るために何度も解けた青銅を流し込んだ痕跡も見つかっている。

 バイメタル剣は、鉄利用の先進地と考えられるイラン北部からコーカサス地方で鉄移行期によく見られる金属器で、生産技術が青銅器から鉄器へ移る様子を反映したものとされている。

 研究結果は3月4日、東京浜離宮朝日ホールで開かれる文化財分析技術ワークショップで紹介される。

※1 放射光 電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石で進行方向を曲げたときに発生する強力な電磁波

広島大学

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