日本英語検定協会の実用英語技能検定(以下、英検)が検定料の値上げを続けていることに対し、抗議の署名を集めるキャンペーンが、オンライン署名募集サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」に立ち上がった。署名は11月18日午前9時現在で6,867人に達している。
発信者は来春に受験を控える高校生のHanae Lさん。Hanae Lさんによると、英検はここ数年、毎年のように検定料の値上げを続け、2018年度と比べると約1.5~2倍になっている。受検者数が最も多く、入門級として一般的な3級の検定料はこの3年で3,800円から7,900円へ2倍以上上がっている。英検は受検者数が増加傾向にあり、需要の高まりから受検者の足元を見た料金設定が疑われるほか、毎年度小刻みに値上げすることで全体の値上げ幅をぼかしているように見えるという。
値上げの理由について、日本英語検定協会は新型コロナウイルス感染症の流行下で会場の確保や感染防止対策を挙げている。しかし受検者側からは十分な対策が取られているとはいえないという声が上がっている。また学校会場の多くで学校教員が受験料の徴収、会場準備・運営などを勤務時間外に無償で行っており、値上げの理由の一つとされる人件費の増加についても疑問を投げかけている。
英検をはじめとする英語外部試験は、大学入試において出願要件や、得点換算、加点に利用されるなど、英語によって受験のチャンスを広げたい高校生にとって欠かせない存在になっている。
英語外部試験利用大学検索サイト「ヨンナビ」を運営する豊島継男事務所によると、2022年度私立大学一般入試において、英語外部試験を利用している大学は2021年9月8日現在、全国で222大学(38.0%)※。最も多い東京地区で52.6%、次いで近畿地区が51.7%の大学が利用している。英語外部試験別に利用率を見てみると、英検は2021年度で98.6%、2022年度98.2%と最も多い。
Hanae Lさんは「コロナ禍で経済的な打撃を受けた家庭、アルバイトのシフトを減らされた学生、自分で受験料を払う学生が多い状況での値上げは、英検を受験する機会が経済状況に左右され教育格差を生む要因になっている」と指摘。オンライン署名が目標の賛同数10,000に達すれば、日本英語検定協会に受験料見直しを求めるとしている。
※英語外部試験の利用状況調査は入試ガイドや大学ホームページを対象に行った。