2020年の総長選考過程が学内外から批判を受けたのを受け、総長選考のあり方を検討していた東京大学のワーキンググループ(WG)は、総長経験者を選考会議に関与させないとする最終報告をまとめた。東京大学は報告実現に向け、学内規定を改正する。

 東京大学によると、最終報告は総長選考会議が総長を選び、けん制する役割を持つにもかかわらず、委員選出の仕組みに総長の意向を反映させやすい仕組みになっていると指摘。大学経営の透明性や公平性を図るため、総長経験者を選考会議の委員に就けないようにすべきだと提案した。

 東京大学で経営を担当する理事経験者も退任後6年間、委員に就けないようにするほか、理事や常勤教職員を経験した委員の合計が選考会議の学外委員の2割以内に抑えるよう求めている。

 2020年の総長選考では、予備選で得票数がトップだった候補者が教職員による意向調査の対象から外されたうえ、選考会議の議長を務めた小宮山宏元総長が会議の席で1位候補に関する匿名の告発文に触れ、意向投票から外すよう議論誘導したのではないかとする疑問の声が上がった。

 当時の五神真総長が設置した第三者委員会は2020年末、藤井輝夫現総長を選んだ選考は正しく行われたとしたものの、小宮山元総長の発言が「妥当性を欠く」と指摘した。これを受け、4月に藤井総長が就任したあと、選考会議のあり方についてワーキンググループで議論を進めていた。

参考:【東京大学】総長選考会議の組織検討ワーキンググループの検討結果に関する報告(最終報告)

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