大学など職域での新型コロナウイルス感染症ワクチンの3回目接種で、文部科学省は全国の国公立大学法人、学校法人、国立高等専門学校機構などに対し、留意点を通知した。12月中旬から厚生労働省の専用ウエブフォームで申請の受け付けが始まる見通しで、来春の接種スタートに向け、大学側の準備が本格化する。
文科省によると、大学などを含む職域での新型コロナワクチンの3回目接種は、米モデルナ社製を使用して2022年3月から順次始める計画。1、2回目の接種を実施した大学や企業などのうち、実施を希望するところを対象とする。会場や医療従事者は1、2回目と同様に大学や企業が確保する。接種間隔は2回目から8カ月を目安とする。
大学でのワクチン接種は若年層の接種率向上に寄与し、感染拡大の防止に一定の効果を上げたと考えられているが、8カ月の接種間隔を考慮すると、多くの大学で実施時期が2022年4月以降になるとみられる。
新年度早々の時期は多くの学生が大学のキャンパスに集まるだけでなく、関西学院大学など2022年度からすべての授業を原則として対面方式に戻すところが少なくない。職域接種は1,000人以上を対象に接種するとされているだけに、会場の確保など課題が多い。
さらに、準備を進める2~3月は入学試験や合格発表など大学にとって最も忙しい時期に重なる。新型コロナの新規感染者は国内で落ち着いているものの、欧州や韓国で大流行が続いているほか、南アフリカで新たな変異株が確認された。このため、準備期間や接種スタート時点の感染状況を予想しづらく、大学側は人流コントロールなどに不安を抱えている。