プレスリリースより
パーキンソン病は、手足がふるえ、動作が緩慢になり、重篤化するほど日常生活が困難になる難治性の脳・神経疾患です。1000人に1人はかかるといわれる比較的患者数の多い疾患ですが、その発症メカニズムは明らかではありません。また現在、パーキンソン病の診断は、運動症状や精神症状の検査からパーキンソン病の疑いがあるかないかを判断するにとどまっており、死後の脳の組織標本を検査する以外に確定的に診断する方法はありません。今回、東北大学大学院医学系研究科小山内実准教授、同大学院博士後期課程菊田里美氏、および徳島大学薬学部笠原二郎准教授を中心とした研究グループは、パーキンソン病により神経活動が増加している脳の領域(領野)をMRI を用いて可視化し、その増加の度合いがパーキンソン病の重篤度と相関している領野を明らかにしました。この発見は、パーキンソン病の発症メカニズム解明だけでなく、MRIを用いた早期診断に発展する可能性があります。
パーキンソン病は、運動機能に関与する大脳基底核線条体にドーパミンを送るニューロンが減少し、線条体のドーパミン量が減少することで発症するといわれています。しかし、そのドーパミンの減少が、脳のどの領野にどのような神経活動の変化を引き起こし、パーキンソン病症状を呈するようになるのかは諸説あり、はっきりしていませんでした。同研究グループは、神経活動を可視化できる「活動依存性マンガン造影MRI」(Activation-Induced Manganese enhanced MRI; AIM-MRI)法をパーキンソン病のマウスに適用し、パーキンソン病により神経活動が変化している脳の領野を特定するとともに、パーキンソン病の症状の重さに関連して神経活動が変化している脳の領域を明らかにしました。
同研究結果は、8月10日付で「Scientific Reports」誌(電子版)に掲載されています。
出典:【東北大学】パーキンソン病の重篤度をMRIで可視化する ‐パーキンソン病の早期診断に向けて‐