名古屋工業大学電気・機械工学専攻の坂口正道准教授と株式会社神戸デジタル・ラボの山口和泰先端技術開発部長は4月20日、「触覚スタンプ」に関する研究を開始したと発表した。

 「触感(しょっかん)」という言葉が近年話題になっている。触覚をはじめ、さまざまな感覚によって成り立つ主観的な質感の総称として使われる。特に触覚は新領域として研究が注目されており、医療における触診のデータ化や、HD振動機能が搭載されたゲーム機の開発などで知られるようになった。

 今回、研究グループは「触覚」をSNSのような「顔が見えない」、「距離が離れている」など直接会えない時に適用することでコミュニケーションを豊かにすることをテーマに研究を進めてきた。今回、LINEスタンプの見た目の印象から触刺激をデザインし、振動によってその触刺激を実装することでより高い感情を伝達できるかどうかを検証した。

 実験には名古屋工業大学の学生らによる8グループが参加し、14スタンプを使用した。「8ビートドラムを素材に作成」「鼓動に近い音を再現する」など創意工夫を凝らして実装した触覚刺激を発表した。その結果、参加した8グループのうち「触感が有効である」と答えたのは7チームで結果87.5%が「触感がLINEスタンプの表現力を豊かにする効果がありそう」だと答えた。

 今回の成果により、触感はコンテンツの大小にとらわれない、UXデザインにおいても極めて重要なツールにあるという仮説がたった。今後、研究グループは様々なコンテンツに対して触刺激をデザインし、その触感を検証していく。有効であることが確認された触刺激をアーカイブし、様々なプロダクト開発で参照される触感データベースの研究を進めていく方針。

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