理化学研究所、沖電気工業株式会社、東北大学、名古屋工業大学の研究グループは、2020年度から約5年間で、企業、教育、市民行政の現場でグラフ文書を作成するためのソフトウェア「セマンティックエディタ(SE)」をオンラインで共同利用する環境を構築し、AIシステムの学習用データへ相互活用するための技術を開発する。本開発研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業に採択された。

 文書の作成と読解は社会活動のコミュニケーションに重要だが、その能力には個人差がある。一方、セマンティックオーサリング(文章内容の論理的つながりを矢印などで図式化したグラフ文書の作成)を用いると内容が理解しやすくなり、評価・判断の精度が高まるため、AI技術開発現場でも高質な学習用データとして注目され、また、オンラインでの非対面でのやりとりの広がりから理解しやすい文書表現が求められている。

 本開発では、理化学研究所はSEの拡張機能を設計し、ユーザビリティを評価して設計・実装にフィードバックする。沖電気工業は、セマンティックオーサリングに自然言語対話機能、知識獲得機能を付加し、社内文書の共同作成に基づき業務の生産性向上技術を開発する。

 また、東北大学は、グラフ文書の読解・作成能力の学習支援、グラフ文書コミュニケーションによる批判的思考力の学習支援、多様な教科における教育・学習支援環境を構築する。名古屋工業大学は、意思決定の支援を扱い、意思決定の根拠として活用可能なコンテンツやデータを探索・推薦可能にする技術を研究開発する。

 グループウェアとして、誰でも自由に拡張修正可能なフリーソフトとすることで、SEの普及に貢献するとしている。

論文情報:【沖電気工業株式会社】文章の構造を可視化しAIと協調するオンライン共同エディタの開発開始

大学ジャーナルオンライン編集部

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