高齢者の歯の数が減ると閉じこもりになる人が多いことが、東北大学大学院歯学研究科の小坂健教授らの研究で分かった。そしゃくが困難な高齢者も閉じこもりになることが多かったが、むせの経験や口腔乾燥症と閉じこもりに関連性は見られなかった。
東北大学によると、小坂教授らの研究グループは国内13市町村が参加した日本老年学的評価研究のパネルデータから65歳以上で要介護状態でない高齢者約2万6,600人分を解析し、6年間の追跡調査を経て口腔状態と閉じこもりの関係を調べた。
その結果、歯の本数が20本未満の人は6年後、20本以上の人に比べて閉じこもり状態のなる割合が1.42倍、そしゃくが困難な人はそうでない人に比べて1.28倍多いことが明らかになった。歯の本数と閉じこもりの関連効果は、年齢が70歳から75歳になるのと同じ程度だった。
調査時点で閉じこもりだった人は6年後、そしゃくが困難になると予測できたが、歯の本数やむせの経験、口腔乾燥症との関連を見い出すことができなかった。
外出頻度が週1回未満の閉じこもりは社会的孤立や身体活動量の低下など健康への悪影響を引き起こし、要介護リスクや死亡率の増加、認知機能の低下につながる可能性がある。研究グループは歯の本数を維持し、社会参加を促す地域づくりが高齢者の健康維持に役立つとみている。