Archaeology: Viking expansion associated with trading

 
デンマークにあった中世初期の商業施設に由来する人工遺物の正確な年代測定が行われ、バイキング時代の初期に、北極圏ノルウェーや中東まで遠隔地貿易が拡大していたことが明らかになった。この知見を報告する論文が、今週、Nature に掲載される。中東のガラスビーズの到来とバイキングスカンジナビアでのベルダル様式のブローチの生産についての正確な年代測定が行われ、西暦785~810年とされた。これらの知見は、バイキング時代の始まりが貿易ルートを巡る競争と関連していた可能性を示唆している。

バイキング時代の遠隔地相互作用の時期と動態については、広く議論が交わされている。中東におけるイスラム帝国の拡大を背景にした世界的な貿易サイクルの出現が、バイキング時代の貿易とシャルルマーニュ王朝下の西ヨーロッパの繁栄にとっての経済的な触媒となったという主張がある。一方、この貿易の年代決定と影響に疑問を呈し、バイキングスカンジナビアとカロリング帝国の発展の大部分が地域内での発展にとどまっていたと主張する人もいる。

今回、Bente Philippsenたちは、新しい単年分解能の放射性炭素年代較正曲線を用いて、デンマークのリベにあったバイキング時代の商業施設の人工遺物の正確な年代測定を行った。この年代測定モデルにより、西暦760~800年の期間について、年代順の基準点が得られた。Philippsenたちは、この期間の初期にリベがヨーロッパ大陸西部との独占的な取引を行っていた可能性があることを明らかにし、その証拠として、2種類の人工遺物を提示している。その1つは、破損した杯やローマ時代のモザイクタイルのリサイクルガラス素材でできたガラスビーズで、もう1つは、ライン地方の陶磁器だった。ノルウェーの岩石から作られた砥石の年代は、西暦740年ごろまでさかのぼることができ、これは、西暦790年に北海バイキングの襲撃がエスカレートする前にスカンジナビア内で海上貿易が増加していたことを示唆している。西暦750~790年に製造されたワスプタイプのガラスビーズは、バルト海沿岸地域との交通があったことを暗示している。また、中東のガラスビーズの到来とベルダル様式のブローチの生産は、西暦785~810年と年代決定された。

Philippsenたちは、この年代測定モデルを使用することで、過去の急速な変化(経済動向、気候の傾向など)の関連可能性を探ることができるようになるかもしれないと結論付けている。

doi:10.1038/s41586-021-04240-5
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「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

 
※この記事は「Nature Japan 注目のハイライト」から転載しています。
転載元:「考古学:バイキングの勢力拡大は貿易と関連していた
 

Nature Japan

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