神奈川県横須賀市の上地克明市長は、過去の虐待被害で単身生活をして生活が困窮している大学生に対し、生活保護を適用するよう求める要望書を後藤茂之厚生労働相に提出した。大学生に生活保護を適用しないとした58年前の厚生省(当時)局長通知が時代に合わなくなっているとして撤廃し、大学生に対して柔軟に運用することを訴えている。

 横須賀市によると、上地市長は過去の児童虐待被害などから大学へ進学後に単身生活をしている大学生の中に生活困窮からその意思に反して大学を中退せざるを得ない人が存在することを挙げ、逆境にある子どもや若者へのセーフティーネットとして生活保護制度を活用すべき状態と主張した。

 しかし、生活保護は1963年の厚生省社会局長通知で原則として大学生が受給できないとされ、その後もこの方針が維持されている。上地市長が面会した虐待被害者支援サイト「虐待どっとネット」の中村舞斗代表理事は、児童虐待のフラッシュバックでアルバイトの継続が困難になり、生活保護の相談をしたものの、大学生を理由に断られているという。

 上地市長は58年前の通知にこだわることなく、生活保護制度を柔軟に運用するとともに、生活に困窮した大学生向けの支援制度を創設するよう求めている。

参考:【横須賀市】虐待被害等により単身生活を余儀なくされた生活困窮大学生等の支援制度の創設及び生活保護制度の柔軟な運用を求める要望について

大学ジャーナルオンライン編集部

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