多くの女性の肌悩みのひとつ、顔のたるみ。意外なことに、これまで顔の肌の構造はよく分かっておらず、たるみの原因も十分に研究されていませんでした。今回、世界で初めて顔の形状を保持する肌構造が解明され、加齢とともに顔のたるみが起こるメカニズムが明らかになりました。
聖マリアンナ医科大学形成外科学教室松崎恭一准教授(現・慶應義塾大学医学部形成外科学教室専任講師)と国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野落谷孝広主任分野長、資生堂の共同研究グループは、89人の顔の肌の組織を調べ、顔の肌に特徴的な構造体を確認し、これを「アンカー構造」と名付けました。通常の顔の肌の真皮下部では、弾力・ハリのもとになるコラーゲン線維と弾性線維が横方向に配列しているのに対し、アンカー構造の部分では両線維が縦方向に配列していました。アンカー構造には個人差があり、アンカー構造が多い肌では顔の形状がしっかりと保持されており、たるみが少ないことがわかりました。アンカー構造は加齢とともに失われ、このことが顔のたるみの原因だったのです。
顔の肌構造がわかったことで、たるみ改善に効果的な美容法の開発がより一層進展することが期待されます。今回の成果をもとに、資生堂はすでに表情筋を使ったエクササイズや生薬「甘草」によってたるみを改善できることを明らかにしており、今後さらにスキンケア化粧品の開発にも応用していくとしています。