神戸大学と国立情報通信研究機構、デジタルリスクマネジメントのエルテスは、千葉銀行、三菱UFJ銀行、中国銀行、三井住友信託銀行、伊予銀行と連携し、プライバシー保護連合学習技術(※1)を使った不正送金検知の実証実験をした。

 神戸大学によると、実証実験は被害取引の検知、不正口座の検知に分けて行われた。被害取引の検知は通常の機械学習(※2)モデルによる検知精度と連合学習モデルによる検知精度を比較したところ、連合学習モデルの導入で検知精度が向上し、目標とする80%以上を達成した。さらに、個別学習モデルで検知できなかった不正取引を見つけた。

 不正口座の検知では、個別学習モデルと個別学習モデル、連合学習モデルを組み合わせたハイブリッドモデルで精度を比較した結果、ハイブリッドモデルの精度が高く、検知率80%以上を達成した。実データでの不正口座凍結より20~50週程度早く検知できることも分かった。

 神戸大学などは研究が2022年度の科学技術振興機構採択事業に選ばれたのを受け、今後、さらなる検知機能の向上やシステム実装を進める。

※1 プライバシー保護連合学習技術 データを1カ所に集約せず、分散した状態で連合して機械学習する技術
※2 機械学習 あるデータの中からコンピューターが一定の規則を発見し、その規則に基づいて未知のデータに対する推測・予測をする技術

参考:【神戸大学】プライバシー保護連合学習技術を活用した不正送金検知の実証実験を実施~被害取引の検知精度向上や不正口座の早期検知を確認~

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