国家戦略特区での獣医学部新設を計画していた京都産業大学は、学校法人「加計学園」が2018年春、愛媛県今治市に獣医学部新設を計画していることを受け、新設を断念した。これに代わる措置として、2019年度から総合生命科学部を再編して生命科学部を開設する。

 京都産業大学によると、総合生命科学部の動物生命医科学科を軸にした獣医学部の設置構想は2004年に策定された。その後、関西圏特区での獣医学部新設を目指し、加計学園と競合していた。しかし、政府が示した条件に合わなかったため、特区事業者への応募を見送っている。

 国内で獣医学教育を担える教員は多くない。加計学園の応募により、国際水準に資する教員の確保が難しくなったとして断念を決めた。安倍晋三首相は6月、2校目の獣医学部新設に前向きな発言をしていたが、2校目に最も近いとみられてきた京都産業大学の断念で新たな獣医学部の誕生は当面、見込めなくなった。

 新学部の生命科学部は2学科体制。動物生命医科学科に生命システム学科、生命資源環境学科で実施されてきた基礎研究を採り入れ、先端生命科学科を設置する。さらに、ライフサイエンスの知識を基盤にし、そこへ社会科学的な知識を備えた人材を養成する産業生命科学科を置く。
それぞれの学科に医療と健康、食料と資源、生態と環境の3コースを設けて専門性を高める。獣医師の養成はしないが、実験動物1級技術者、食品衛生管理者の資格取得に取り組む。

大学ジャーナルオンライン編集部

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