順天堂大学と電気通信大学の研究グループは、各種イヤホン装着時の音楽聴取の実験から、地下鉄の騒音環境下での音楽聴取は難聴リスクを高めるが、ノイズキャンセリング機能によって難聴リスクが回避できることを明らかにした。

 現在、イヤホンを介した音楽聴取による難聴は若者に増加しており、世界保健機構(WHO)が警鐘を鳴らしている。音楽デバイスが静寂環境で使用された場合は、音量は一般的には安全域とされるが、地下鉄内など雑音がある場合は音量を増大させがちだ。雑音下でのイヤホンによる安全な音楽聴取の対策は不明なため、研究グループは各種イヤホン装着時の音楽聴取の実験を行った。

 実験では聴力が正常な成人23名を対象とした。4種類のイヤホン(A)耳置き型、(B)ヘッドホン、(C)インサート型、(D)ノイズキャンセリング機能付きインサート型を用いて音楽を聴取し、一番聞き心地の良い音量(最適リスニングレベル)を任意で調整してもらった。静寂な環境条件下と地下鉄内で録音した環境騒音(80dB)下でそれぞれの音楽の最適リスニングレベルを計測した。

 その結果、地下鉄の背景雑音下で最適リスニングレベルは、A、B、Cでは静寂下に比べて増加、AとBではCとDに比べて増加、AとBでは危険な音量である85dB以上となる場合があった。しかし、ノイズキャンセリング機能のあるインサート型イヤホン(D)では安全音量の75dB以下だった。

 今回の研究により、地下鉄の騒音環境下での難聴予防策としてイヤホンのノイズキャンセリング機能が有効であることが証明された。これは、社会生活に重要な「聴こえ」の健康維持につながるとしている。

論文情報:【Journal of Audiology & Otology】The Effects of an Active Noise Control Technology Applied to Earphones on Preferred Listening Levels in Noisy Environments

大学ジャーナルオンライン編集部

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