東京大学大学院の山崎俊彦准教授らは、人工知能(AI)を用いてハッシュタグを推薦する技術を開発した。これにより、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で投稿した画像や映像の人気度(閲覧数やいいね!の数)を向上させることができる。
近年、SNSを用いた商品・サービスのプロモーションが盛んだが、特定のコンテンツの人気度を向上させる方法は確立されていなかった。これまで、画像や動画を判断し客観的に正しいタグ(「山」「湖」「森林」など)を推薦する技術は多数研究されてきた。人気度を向上させるタグ(「湖面映り込み」など)を推薦する技術は世界初の試み。これは、SNS上でそれぞれのハッシュタグが人気度に影響を与える強さを数値化し、ユーザーが付与したハッシュタグを参考にして、人気度を向上させるのに効果的なタグを任意の個数推薦する、というもの。
今回、約6万枚の画像とそれに付与されたタグを用いてシステムに学習させ、約2000枚の画像に対して実際にシステムが推薦したタグを追加してSNSに投稿。10日後には人が付けたタグだけを用いた場合と比較して2倍程度の閲覧数を獲得した。推薦タグはもともと、人が付与したタグを参考にするため、画像や映像の中身とマッチした正しいタグが推薦されることも約1500名の主観評価によって検証済みだ。スコアの計算にかかる時間は通常のサーバーで数秒程度と短く、毎日タグを推薦し直すこともできる。
今後の展開として、SNS上で商品やサービスなどを効果的にプロモーションする際のハッシュタグ推薦、ECサイトなどでのクリック率向上、オウンドメディアやニュース配信における印象的なヘッドライン作成支援などが考えられるという。
論文情報:FolkPopularityRank: Tag Recommendation for Enhancing Social Popularity using Text Tags in Content Sharing Services
※「The 26th International Joint Conference on Artificial Intelligence(IJCAI)」にて発表予定