志願者の減少が問題になっている国家公務員総合職採用試験で、2022年度春の試験申込者が過去最低だった前年度を7.1%上回る1万5,330人だったことが、人事院の集計で分かった。低落傾向をわずかながら持ち直した形だが、現行試験が導入された2012年度以降では2番目に少なく、不人気からの脱却とはいえそうもない。
人事院によると、申込者は大学院卒が1,656人で、前年度を9.6%上回った。大学卒程度は1万3,674人を数え、対前年度比6.8%の増加となった。全体では1万5,330人で、前年度を7.1%上回っている。このうち、今回から新たに設けたデジタル区分の申込者数は大学院卒、大卒程度を合計して207人だった。
女性の申込者は大学院卒495人、大卒程度5,821人の合計6,316人。申込者全体に占める女性の割合は41.2%で、2年続けて4割を超えて過去最高を記録した。
国家公務員総合職採用試験はキャリア官僚と呼ばれる各省庁の幹部候補生を採用するもので、春と秋の年2回実施されている。かつては大学院生や学部学生の人気を集める狭き門だったが、最近は長時間労働などが敬遠され、右肩下がりで志願者が減っていた。
春の試験で申込者が前年度を上回ったのは6年ぶり。人事院は出願期間を延長したことなどが影響したとみているが、増加に転じたと喜べる状況ではないとして働きやすい職場環境の整備が必要としている。