横浜市立大学大学院データサイエンス研究科の金子惇講師らの研究グループが横浜市のデータベースを使い、75歳以上の高齢者の医療機関受診状況を分析したところ、2050年に横浜市の訪問診療と通所介護サービスが現在の1.4倍、居宅介護サービスが1.2倍に増えることが分かった。
横浜市立大学によると、研究グループは横浜市医療政策課と連携し、2018年4月1日から2019年3月31日に横浜市に住民票を置いていた75歳以上の市民で後期高齢者医療広域連合加盟者、生活保護受給者の全員約45万人を対象に、レセプト(診療報酬明細書)データから医療や介護サービスの受診状況を調べた。
その結果、90歳以上は75~89歳に比べ、外来受診が少ないが、救急室受診や入院、訪問診療、通所・居宅介護サービスの利用が多いことが分かった。生活保護受給者は受給していない人に比べ、診療所外来の受診が少ないものの、病院外来や救急室受診、入院、訪問診療が多くなっていた。
これらの数値から種類別の医療サービス、介護サービスを受けた人をはじき出し、2050年に予測される人口構成に当てはめたところ、訪問診療と通所介護サービスが現在の1.4倍、居宅介護サービスが1.2倍に増えることが明らかになった。
人口の東京一極集中はコロナ禍で歯止めがかかる兆しが見えているものの、都市部への人口移動は依然、続いている。大都市圏に暮らす後期高齢者の数も増える一方で、地方自治体が今後の医療政策を進めるうえでこれらのデータは重要な指標となりそうだ。