富士通研究所(川崎市、佐々木繁社長)は、カナダのトロント大学と戦略的パートナーシップを締結、量子コンピューティングを核とした革新的な技術開発に向け、トロント市に新たな研究拠点を設ける。

 富士通研究所によると、新研究拠点では両者が開発したデジタルアニーラ(※1)技術を発展させ、実社会の課題解決に幅広く活用できる機能を拡張するほか、トロント大学で進む高度な学術的な研究を生かし、医療や金融など実社会の問題に適用させる応用プログラムを開発する。

 今後取り組むテーマの1つががん放射線治療での放射線量の最適化。CT画像に基づき、正常組織への放射線照射量を安全なレベルに保つには、膨大な量の計算が必要になる。この間、患者の体を固定しなければならず、計算時間を短縮できれば、治療効果の向上だけでなく、患者の負担を軽減できる。
デジタルアニーラの拡張と応用プログラムの開発が実現すれば、数分以内で計算することが可能になり、放射線治療を大幅に進歩させることができるという。

 富士通研究所の佐々木繁社長は「トロント大学との共同研究強化で社会や経済の発展に貢献していきたい」とのコメントを発表した。

※1 デジタルアニーラ 富士通研究所とトロント大学が共同で開発した従来の半導体技術を用いた計算機アーキテクチャー

大学ジャーナルオンライン編集部

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