出産後の完全母乳育児継続に育児ストレスが悪影響を及ぼすことが、秋田大学と粉ミルクメーカーの雪印ビーンスタークの全国調査で分かった。産後1、2カ月の育児ストレス緩和が完全母乳育児の継続に力となる可能性も示唆している。

 秋田大学によると、研究成果は研究当時、秋田大学医学部に在籍していた鈴木智也さんが中心になってまとめた。鈴木さんらは2014~2019年に全国の73産科医療機関で出産した健康な母親1,210人(平均年齢31.2歳)を募集し、うち出産後2カ月時点の母親1,120人、6カ月時点の1,035人を対象に育児ストレスと授乳方法を調べた。

 その結果、完全母乳で育児している母親は2カ月時点で75%、6カ月時点で78%。母親の育児疲れや子どもの発育に関する心配は2カ月時点だと母乳育児の母親より母乳以外で育児している母親のほうが統計的に高かったが、6カ月時点になると差が見られなかった。

 研究グループで分析したところ、2カ月時点で育児疲れがあると、人工乳や混合栄養法を取る傾向があり、育児疲れが少ないと、母乳で育児していた。

 世界保健機構(WHO)は完全母乳による育児を生後最低6カ月推奨し、日本国内でも完全母乳育児を希望する母親が9割を超えている。しかし、日本の母乳育児率は51%にとどまっている。

論文情報:【Nutrients】Relationship between Child Care Exhaustion and Breastfeeding Type at Two and Six Months in a Cohort of 1210 Japanese Mothers

大学ジャーナルオンライン編集部

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